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敏洋’s 昭和の恋物語り

愛の横顔 〜100万本のバラ〜 (二十三) 

2024年01月03日 外部ブログ記事
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 約束のクリスマス・イヴの夜、朝からどんよりとしていた曇り空が、いまでは星々がまたたいている。栄子にとって一生を左右するときが、刻一刻と迫っている。“どうするの? どうしたいの?”。己に煩悶する栄子だった。だれかに背中を押してもらいたい気もするが、栄子のプライドとして他人の意見に惑わされることはできない。それに、分かっているのだ。主宰は「受けるべきよ」といい、健二は「やめろ」というはずだ。いや、口にしないかもしれない。栄子の気質をよく知るふたりだ。主宰はかおを輝かせ、健二はみけんにしわを寄せるだけのことだ。
 会社帰りのサラリーマンやウーマンでごった返す居酒屋に、若い男を引き連れた女性が入ってきた。話に興じていた中年男が、「おいおい。場ちがいな女がきたよ」と、相手のことばををさえぎった。振り返った20代後半の女性が、「ええっ?! パーティ帰りかしら? にしても、こんなところに来るなんて」と、上から下までをなめるように見た。
 黒のシックなイブニングドレスを身につけて、頭にはつばの広い黒の帽子を深くかぶっている。薄め色のサングラスをかけ、口紅は深紅の色でつやつやとしている。アメリカ映画のスクリーンから飛びだしてきたような雰囲気をかもし出している。うしろで小さくなっている若者も背が高いが、それに負けないほどの長身で、店内を見下ろすように見回した。この青年も、パリッと糊のきいたワイシャツに赤のネクタイをしめ、クリーニングからおろしたてのようなしわのないスーツ姿を見せた。ただ足下に目をやると、ブランド品ではあるもののすこし薄汚れたスニーカーとの組み合わせが、とってつけた観をかもしだしていた。
 そんな栄子の姿を入り口に見つけた松下は、大きく手を振って呼び寄せた。しかしコンタクトで視力矯正をしている栄子でも、すこししわによれた薄グレーのワイシャツ姿の松下を見つけることはできなかった。栄子以外の連れにたいしての振りだと思った栄子は、キョロキョロと辺りを見回すだけだった。「栄子さん、ここです。ぼくです、松下です」きょうのお昼にかかってきた松下の声だとわかり、先日のスーツ姿との違いにおどろかされた。
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