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敏洋’s 昭和の恋物語り

青春群像 ご め ん ね…… えそらごと(十) 

2024年01月14日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



両親の離婚という不遇にあったとしても、母親に「父親にすてられた子」と、夜ごとになじられたとしても、彼の将来がすべてくずれさるわけではない。(ぼくはぼくだ)との思いをつねに持った彼だったし、(神さまはぼくの味方だ)と言いきかせてきた彼だった。
 自○のまねごとをして母親に彼のこどく感をうったえたおりも、神さまは彼のみかたをしてくれた―と彼は思っている。母親が不眠をうったえて、かかりつけの医院から受け取とていた睡眠薬をすべて飲んだ彼だったが、母親の自○をけねんした医師によって、万がいちに処方した全量をいちどきに服用したとしても、最悪の事態はさけられるだけの量に調節されていた。
おのれだけが苦しんでいるのではないと気づいた母親は自責の念をだき、号泣しながら彼をだきしめた。とそのときに、彼のなかのなにかがはじけた。母親にだかれた彼はただの肉塊となり、透明な彼がくうに出現した。「ごめんね、ごめんね」という母親の声にも透明な彼はなんの感情ももたない。ただ見おろすだけだった。冷徹なしせんを投げかけるだけだった。(いまさら…)そんな思いだけが彼のなかに残っていた。
(そんなこと言っちゃだめだよ、ちゃんと……)

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