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敏洋’s 昭和の恋物語り

[宮本武蔵異聞] 我が名は、ムサシなり! (三十) 

2023年11月10日 外部ブログ記事
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(吉岡一門 四)
冷笑を浮かべて本堂横を指さした。月明かりだけが届くだけの薄暗さだった。およそ五間ほどの巾で、奥行きは十間か十二間か。太い幹まわりの木が三間ほどの間隔にならんでいる。この場所ならば、ムサシの言うがごとくに多人数の乱入はできない。
 体の冷えが気になりはじめた清十郎は「体を温めてください」という梶田の進言をしりぞけた己の未熟を思いしらされた。ムサシの遅参もまた、体の冷えを誘わんがためのことかと、後悔の念にとらわれた。田舎武芸者と小馬鹿にした己のごうまんさが恥じいられた。亡父三代目当主である吉岡直賢の今際のことばが思い出された。「臆病であれ!」 その意味を、いま知った清十郎だった。
 感慨にひたる清十郎に対して、ムサシが「参る!」と怒声をあげて、長さ三尺はあろうかという丸太を飛び降りざまに振りおろした。あわてて木刀で受けた清十郎だが、その衝撃に手首をいためてしまった。なんとか正眼に構えをしたものの、すでに戦意をうしなった。
清十郎の目におびえの色を見たムサシだったが、右の肩に一撃をくわえて脱兎のごとくに走り去った。約定どおりの闘い――相手にわずかでも一撃を加えられればそれで勝ちとする――を守ったムサシだった。こたびの戦いは、金品が目的ではない。吉岡清十郎という、京一の兵法者を倒した男という名前を欲しただけのことだ。

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