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敏洋’s 昭和の恋物語り

水たまりの中の青空 〜第三部〜 (三百九十六) 

2023年11月07日 外部ブログ記事
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((ご報告))
あとさきになりましたが、(三百九十二)より、第3部(武蔵の死)とさせていただきます。屋台骨を失った、富士商会。武蔵は死の床で、どんな起死回生の手を打ってくるのか。そしてその後の、富士商会は……?(すこし企業小説的な要素が入っていますが、なにぶんにも会社勤めは経験不足ですので深く追求されませんようねがいます)
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 その日の夜に、竹田・服部・徳子、そしてむろん五平が、社長室に呼ばれた。昼間のこうふんが覚めやらぬ中、おもむろに武蔵が口をひらいた。「どうだ、ソファの座り心地は。加藤専務がうまいことをいった。『雲のじゅうたんですなあ』。ふわふわだけれども、芯がしっかりしている感じだろう」 まだソファ自慢がつづこうとするのを、五平が引きとった。「社長とは真反対だよな。ゴツゴツしているけれども芯はやわらかい、ってな。で、なにかまだ話があるんですかい」
「日の本商会の実体がわかった。女社長だということまではみんなも知っているだろう。ただその素性が分からなかった。それがおとといに分かったんだ。驚いたよ、おととしの暮れに店じまいした大杉商店を覚えているだろう。そこの長女だった。美人の三姉妹で評判のみせだったけれども、もっとも小夜子には遠くおよばないがな」 ニヤつく武蔵に、五平がちゃちゃを入れた。「小夜子奥さまは、社長にとっちゃ掌中の珠だ。どんな美人を、そうですな。山本富士子あたりを連れてきても、『小夜子の勝ちだ!』 と豪語なさるでしょうに」
「まあいい、話をもどそうか。不思議なのは資金源だ。ほぼ夜逃げ状態だったんだ、金なんかあるわけない。長女の旦那は気のよわい銀行マン。銀行と言っても信用金庫だし、金が出るわけもない。次女の旦那は商事会社と銘打ってはいるが、口銭かせぎの輸入問屋につとめてる。問題は三女だ。このはねっ返りだけはわからん。男がいるようだが、勤め人じゃないかもしれん。ということで、どこから金を引っ張ってきたのか、さっぱりだ」
 徳子が用意したお茶をすすりながら、武蔵の話がおわった。どっぷりと日の暮れた外では、ひっきりなしに車のクラクションが鳴っている。歩道には人があふれ、行き交っている。沿道には商店が立ちならそれぞれに客のよびこみを図っている。歩道に立て看板をおいての宣伝合戦だ。
時計店・宝石店では、ショーウィンドウの中に高額なブランド品を、どうだ! とばかりに陳列してある。洋品店ではマネキン人形に最新ファッションを着飾らせて、若い女性たちの気を引いている。そろそろ遊びの虫がわいてきたか、服部がそわそわし始めた。「あいつらが待ってるんだよ、例の店で」。小声で竹田に話す。耳ざとい武蔵がその声を聞きつけた。「どうだ、だれかひとりものにしたか?」
 へへっと、服部が頭をかいたとき、1階の電話がけたたましい音を立てた。時計は7時をまわっている。取引先からの連絡はありえない。残っている社員の家族からの緊急電話かと、みなに緊張の色が走った。しかし武蔵が平然と言った。「おれあてだよ。どうやらわかったようだな」五平たち4人を制止して、武蔵が足早におりていった。 なにごとかと色めき立つなか、五平が口元に笑みを浮かべながら「資金源だよ」と、冷然と告げた。?

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