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敏洋’s 昭和の恋物語り

青春群像 ご め ん ね…… 祭り (十四) 

2023年08月19日 外部ブログ記事
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 突拍子もないことを口にしはじめた。しかしそれはそれでいいと、わたしは思った。「そうなの? そうなんだ。うまく逃げられると良いね。だったら、ぼくらの役目はおわったんだ。帰ろうか、家に。誰かに見つかると、おおごとになっちゃうからさ」「なに言ってるんだ! 見とどけなくちゃだめだよ。ほんとに逃げられたかどうかを。もし万がいち一捕まったりでもしたら……」
「うん。捕まったりしたら…(助けるの?)」 喉まで出かかったことばを飲み込んだ。「助けるんだ、たすけるんだ、なんとしてでも助けるんだ」? 恐ろしいことばが、やはり友人のくちから洩れた。言って欲しくなかったことばが、もれた。「そうだよね、助けなくちゃね」
? ぼくの口からも、信じられないことばが出てしまった。友人のことばにつられてということだけではない。「正義だよ、せいぎなんだよ」。「人間には連帯意識がなければいけないんだよ」と常々あつく語る友人のことばが、頭の中をグルグルとまわっていた。そして「英雄は自分を英雄にする」が、いま、ぼくの体を押し流そうとしている。ぼくにとっては悪魔のことばである実存主義という化け物にとりつかれている友人を、あがめるような気持ちで見ているぼくには、否定のことばなど出せるはずもなかった。
そして体がぶるぶると震えだした。「なんだい、怖いのかい?」「そういう君だって、震えてるじゃないか」「怖くて当たりまえだと思うよ。でもここで逃げちゃ駄目だ。勇気だ、ゆうきがいるんだ」 しっかりと握られた友人のこぶしが、そのときほど頼もしく思えたことはなかった。かたく握られたこぶしにそっと手を添えるとぼくにもその勇気をわけてよと、力をこめた。
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