メニュー

最新の記事

一覧を見る>>

テーマ

カレンダー

月別

敏洋’s 昭和の恋物語り

[宮本武蔵異聞] 我が名は、ムサシなり!(十八) 

2023年08月11日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



(誕生 一)
 伊賀の国にて。 まだ日は高いというのに、うっそうと茂る木々で辺りがうすぐらくなっている。獣道は低木の枝が折れていて足下の下草は短くなっている。一歩踏み出すたびに、枯れ葉でガサガサと音が出る。いつ獣と遭遇するかもしれない。小動物ならばごんすけも勝てる。しかし大型となると分からない。
 十五歳になって間もない時だ。 村で、祭りの余興として相撲大会が行われた。背丈が五尺たらずののごんすけが出場し、六尺を超える大男との決勝戦となった。「がんばれ、がんばれ」の声援を受けて果敢にとびこんだが、あっという間に投げ飛ばされてしまった。近隣の村一番の男だと聞かされても、悔し涙を流すごんすけだった。
「勝てぬ相手とは戦わぬことが、負けないということだ。君子危うきに近寄らず、ということだ」 寺に長逗留していた武芸者の言葉を思い出した。
 突然に、ガサガサという音が左前方から聞こえた。思わず身構えるごんすけの前に、瀕死の武芸者があらわれた。「それがし、宮本武蔵と申す。日の本一の武芸者になるべく修行をかさねて参りもうした。その仕上げにと、獣の王である熊を相手にしもうしたが、このような有様で……。志半ばにては、残念無念なり!」
 そう言葉を遺して息絶えた。武芸者は熊を相手にと言い残したけれども、太ももに付いた傷を見る限り、ごんすけには猪に遭遇したように思えた。刀を抜く暇もなかったということからして、突如脇道から飛び出してきたと考えた。となると、いつ何どきにごんすけに襲いかかってこないともかぎらない。
周囲に目配り気配りをしながら、「あなたさまの衣類、刀、そして懐中物。死に逝くあなたさまには無用のもの。生き行くわたしが、いただきまする。この後は、ムサシと名乗らせていただきまする。南無…」 と、念仏を唱えながらはぎ取った。
羽織の背には「武芸者 宮本武蔵」と書かれていた。

>>元の記事・続きはこちら(外部のサイトに移動します)





この記事はナビトモではコメントを受け付けておりません

PR







掲載されている画像

    もっと見る

上部へ