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敏洋’s 昭和の恋物語り

[ブルーの住人]第三章:蒼い恋慕 〜ブルー・ふらぁめんこ〜 

2023年08月12日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



「あのナア! きのうヨオ、あいつんところにとまってヨオ、そんでヨオ―――!」「ええっ? 聞こえなーい。もっとおおきくうぅ!」
「ネエ、キミイ。のまないの? これ、アルコール、ほとんどはいってないよ。とってもあまくて、おいしいよ」「でもお……。あたし、すぐよっちゃうの……」
「よお! なんかオモシロイことないか? 毎日まいにち、タイクツでさ」「ケッ! ぜいたくいいなさんな、おどってりゃいいんだよ。ひとばんぢゅうおどりまくって、あさになったらおネンネさ」
 踊りくるう若者らそれぞれのカップルの、声の応酬を耳にしながら、コーラをチビリチビリと少年は飲んだ。
未成年の少年なれば、アルコールは厳禁だ。治外法権とでも化していそうなこの場所においてもなお、「法は法なり!」とばかりに、ルールを守る。それが少年の少年たる所以だ。キョロキョロと落ち着かないそんな少年に、バーテンが、また声をかけた。
「よお! オフェリアさんなら、ホレ、あそこのすみでおどってるよ。もっとも、こんやもだれ誰さんかとイッショだがね」
少年は、はじかれたようにバーテンの指さす隅を見やり、はっきりとはしないが、もつれあっている辛うじて男と女だとわかるふたりを見つけた。
そして少年は、陰鬱な顔をさらにくらくし、なにか呟いた。
「えっ、何だい? もっと大きな声で言いなよ!」「いいんです、かんけいないっス」
バーテンが、なおもしつこく聞く。「ほっといてください!」 今度は、少年が強く言い放った。
そしてミラーボールの光のなか、身振り手振りよろしく大声をはりあげているバンド連を盗み見しながら、まったくの不調和に指でリズムをとりはじめた。

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