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敏洋’s 昭和の恋物語り

水たまりの中の青空 〜第二部〜 (三百三十四) 

2023年03月16日 外部ブログ記事
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「いや。竹田の心配、あんがい当たってるかもよ。じつは、おれも少し気になってることがあるんだ。実害は出ていないけれども。日の本商会という名前さ、きいた気がするんだ。木村商店でなんだけど、あそこの大将は、うちの社長に恩義があるから教えてくれたんだ。けど、価格交渉はうけそうな気がする。奥さんと、こそこそ話してるんだ。で、おれがちかづくと話をやめちゃうんだ」と、山田が声をあげた。
「気のまわしすぎじゃないのか? おれの地区と山田の地区とでは、相当にはなれているぞ。ほかの奴、どうなんだ? なんか変なことに、気づかないか?」 山田をけん制しつつも、不安げな顔でみなに問いたたしてみる。するとあちこちから「そういえば、見慣れない車をみかけたような。ぼくが着くと、荷物のつみおろしを止めちゃうこともあったです」。「ああ、ぼくも経験あります。なんかそそくさと帰っちゃうんです。ぼく、わりと業者さんとはなかよしで、情報交換なんかするんですけど。ひとり、ぜんぜんはなしをしない人が。みんな知らない人間だって」と、声が上がった。
「車に社名はあったか?」「さあ……。気がつきません。なかった、と思うんですけど。君のところは?」「うん。おれも、なかったと思うんだけど」「ばか! 思います、じゃだめなんだよ。もっと、しっかり見ろ!」 服部のイライラがつのり、八つ当たり気味にどなってしまった。「服部くん、やめろよ。気がつかなくて当たりまえさ。いろんな会社が出入りしてるんだ。無茶をいうなよ」 あわてて竹田が間にはいり、取り成した。
「みんな、待たせたな。社長の方針をせつめいするぞ」 上気した顔で、五平が部屋にもどった。「おまけ作戦は、実行する。ただしだ、社長の前言はとりけす。勝手な判断でやることは、まかりならん。まちがいいなく日の本商会だと確認がとれてからの、実行だ。そのさい、かならず口止めをすること。お宅だけに対してだけだから、とな。よそには、決して口外してほしくないと、かならず付け加えること。以上だ」
「専務。その、おまけ作戦、取引先、全部に広げるんですか?」 おずおずと、服部が声をあげた。いっせいに、五平に全社員の視線があつまった。かたずを飲んで、五平の答えを待った。「バカ言うな! 日の本商会相手だけだ。どういうことかというとだ」と、具体的な方法がかたられた。 日の本商会の取扱商品をきょう中にしらべあげて、その商品だけを対象とする。あすの朝に一覧表をくばる、ということだった。調査については、社長が直々にやるから心配するな、とつけ加えられた。

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