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敏洋’s 昭和の恋物語り

水たまりの中の青空 〜第二部〜 (三百三十三) 

2023年03月15日 外部ブログ記事
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 かたい決意を示すがごとくに、ぐっと拳をにぎりしめて力説した。「服部、半値で仕切れ。いや待て、値引きはいかんな。元の値に戻すのがむずかしくなる。うん、そうだ。おまけを付けてやれ。同数の商品をおまけすると言え。実質半値だ。いいか、半値で仕切れと言われても、絶対だめだ。あとあとの商売がやりにくくなる。いまの売掛分についてもな、同数の商品をおまけするとな。ただしだ、条件をつけろ。一品目でも、わずか一個でも、他社の商品を見つけたら、そく品物を引き上げるとな。で、取引停止だと」
ざわつく声を、強い口調で抑え付ける。「いいか、徹底しろよ。一品目ぐらいとか、一個だけならとか、ぜったい見逃すな。それから、富士商会で取り扱っていない商品だからなんてふざけたことは言わせるな。同じ物をかならず納入すると言ってやれ。赤字になってもかまわん。ほかの店から買ってでも、納入しろ。それから仕入先を探せばいいんだ。いいか、ぜったいに恩情なんか見せるな」
するどい眼光で全員をにらみつけて、「徹底的にやるんだ。ほかの者も、みょうな動きをする業者がいたら、すぐに専務に報告しろ。すぐ対応してやる。間髪入れずだ、これが大事だぞ。ええい、まどろっこしい! 事前の報告はいらん。事後報告でいい。即断即決だ。営業のお前たちの判断にまかせる。間違いだったとしても、かまわん」と、語気するどく告げた。
「し、社長。それはちょっと、どうかと。やはり確認を取ってからでないと」と、五平が色をなして押しとどめる。しかし、武蔵はがんとしてゆずらない。あわてて、別室へ武蔵を引っ張りこんで協議をはじめた。取りのこされた社員たちの間に、動揺がはしった。「どういうことだ? 社長のあの剣幕、ただごとじゃないぜ」「服部くん。どうなの、ほんとのところは。そんなに目くじらを立てるほどのことなの?」「いや。それが大げさなような気もするんだ。大した品目数でもないし、金額的にも……」 服部を取り囲んで、みなが真剣に話をきいている。いまのところ服部だけなのである、当事者なのは。
「服部くん。それは、甘いんじやないか? 堤防だって、蟻のいっけつから崩れるなんてい言うしさ。言ってたじゃないか、嫌な予感がしたって」と竹田が、かみついた。「おいおい、竹田。お前、まさか。俺が言ったことを、そのまま伝えたのか? あれはちょっと大げさに言ったんだぞ。俺のそうしたくせは、知ってるだろうが。うわあ、こりゃ、専務にしかられるぞ。まいったな、もう。竹田、うらむぞ」
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