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敏洋’s 昭和の恋物語り
水たまりの中の青空 〜第二部〜 (三百二十四)
2023年02月23日
テーマ:テーマ無し
「お母さん、居るの? ああ良かった。急にくらくなって、誰もいなくなっちゃって。でね、ビーフステーキとかいうお肉を食べてみたいの。それでね、先生にお願いしてほしいの。ほんのすこしの時間でいいから、また外出させてくださいって。小夜子さんにもお願いしてくれる? さいごの我がままを聞いてくださいって。大丈夫よ、小夜子さんはおやさしいから。お母さん、いる? お願いね。あたしの心残りは、それだけなの。お母さん、お母さん。お願いね、お願いね。ごめんなさい、眠くなってきちゃった。すこし眠るわ、すこしねむ、、、」「勝子、勝子、勝子!」「勝子さん、勝子さん、先生が来てくれたから。元気にしてもらえるから。ほら、目を開けて!」「しっかりしなさい、勝子! お前は芯のつよい娘だろ? こんなことに負けちゃいけないよ! 勝子! 勝子!」
母親の呼びかけが病室にひびく。はげしく勝子の体をゆすって呼びかける。医師に哀願のまなざししを向ける。たすけてください、と言葉にならぬ目をむける。しかし、医師がしずかに首を横にふった。「ご臨終です。竹田勝子さんは、永眠されました」。一礼をして離れる医師にたいして、小夜子が「ありがとうございました」と深々と頭を下げた。「勝子、勝子。やっぱりお母さんは、あんたに長生きしてほしかったよ。病院のベッドの中だとしても、やっぱり生きててほしかったよ。あんたには酷なことかもしれないけれど、やっぱり、やっぱり、やっぱり……」 はげしく泣きくずれる母親の背をかるくとんとんとたたきながら「ごめんなさい。やっぱり、死期をはやめてしまったのね。勝子さん、ほんとのところはどうだったの? もっと生きていたかった? 外出なんかせずに、ここでじっとしていた方が良かったの? もっと生きていたかったの?」と沈痛な面持ちで、小夜子が問いかけた。そのことばは、母親にむけたものでもあり、そしてまた己に問いかけるものでもあった。
「ねえさん……」 医師と入れ替わるように入ってきた竹田だった。虫の知らせらというのか、なにやらムズムズする思いにとらわれて、いったんは会社に出勤したもののすぐに早退してきた。そして小夜子の「もっと生きていたかったの?」のことばに、勝子の思いを代弁するかのようにつぶやいた。「ねえさん、幸せだったよね。最後の最後に、好きな男性を見つけたもんね。知ってるよ、ぼく。主治医の先生が好きだったんだろ? だって、先生が入ってくると、ねえさんのほっぺたに赤みがさして、耳たぶまで赤くしてたもんね。小夜子奥さま、ほんとにありがとうございました。姉にかわってお礼を申し上げます。これから、ぼく、小夜子奥さまのためならなんでもします。奥さまが(死ねとおっしゃれば、いつでも差し出しますから)……」
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