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敏洋’s 昭和の恋物語り

恨みます (十四) 

2022年06月11日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



 しかしいま、一樹が小百合のエスコートよろしく一歩一歩に力を入れて上がっている。「ひとりで上がれますから」という小百合に対して、「いいからいいから」と、抱きかかえるように手を回した。ゆっくりと歩を進めるため、足音がほとんどしなくなっている。こんなときにすれ違う相手がいたらと、気が気でない。いつもは足音を立てて上り下りするのだが、今日はまるではた目を気にするがごとくに無音だ。“こんなすてきな男性のエスコートよ”と誇らしくもあるが、不釣り合いな相手であることも十分すぎるほどに分かっている小百合でもある。“どうしてこんなわたしに親切なのかしら”。疑念が湧かないわけではない。といっていまは、陽が高い日中なのだ。お礼を要求されたら応じればいい。そんな気持ちが、いまは小百合の中に生まれている。
 ドアを開けると、甘ったるい空気が漂っている。その場に立ち止まり、少しの空白があった。===== 玄関では、靴を見ろ。1足もなければ「キチンとされているんですね」と言え。1足でも掃きすててあったら、「素敵な靴ですね」でいい。非難めいたことばは絶対つかうな。複数あれば、一人暮らしは楽ですよねとでも言っておけ。 上がりばなではな、部屋のにおいを嗅ぐふりをしろ。女の部屋っていうのは、大体がいいにおいがするもんだ。ほめてやれ、何でもいいからいい気にさせるんだ。もしもへんなにおいがしても、気がつかないふりをしろよ。===== 大きく深呼吸した一樹が「いいにおいだ。小百合さんを抱いてるように錯覚しちまう」と、両手を大きく広げながら入った。「ローズ系の香りで、アロマオイルなんです」と、耳たぶまで真っ赤にして、小声で告げた。「1Kのアパートなんで、台所なんです、ここ。なので、生ゴミのにおいが……。それで、お部屋とここにも置いているんです」

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