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敏洋’s 昭和の恋物語り
水たまりの中の青空 〜第二部〜 (二百二十四)
2022年04月27日
テーマ:テーマ無し
「課長。局長への報告、済ませてきました」 小柄な五十を数える杉田課長も、今では正三に頼りきっている。乱雑に積み上げられた書類の陰から、くぐもった声が返ってきた。「ありがとう、ご苦労さんでした。佐伯くんが行ってくれると助かるよ。本来ならあたしがご説明に行くべきなんだが、質問をされると困っちゃってね。結局、佐伯くんを呼ぶことになる。で、局長のひと声で佐伯くんになった。これからもよろしく頼むよ」「課長、今晩の予定は大丈夫ですね。ちょっと趣向を変えて、キャバレー辺りに繰り出そうかと思うんですが。お嫌いですか、そういった場所は」 小声で正三が確認をする。“上司を手なづけるのも大事なことだ。飲み食いをしっかりさせて、お前のシンパにしておけ”とは、源之助のご託宣だ。「キャバレー? こりゃ意外だ。佐伯くんの口からそんな言葉を聞けるとは。好きですよ、キャバレー。実を言うと、その方が良いんです、あたしは。今ね、口説いてる女給がいましてね」「それは好都合だ、そこにしましょう。是非にもその女給さんに会ってみたいものです。課長の好みの女性って、美人なんでしょうね。楽しみです、ほんとに」「いやいや、あたしは美人は嫌いです。美人はお高くとまって、面白味がない。客を客とも思わぬのが多いです。客がご機嫌取りをさせられてる、実にけしからん!」“そうだな、確かに。美人は、気位が高い。ちやほやされないと気がすまんらしい。そして意地悪な面がある”と、つい小夜子を思い浮かべた。ホテルのロビーでの一件は、少なからず正三のプライドを傷付けた。“確かに連絡をしなかったのは僕の落ち度だけれども、あんな公衆の面前であれほどに罵倒されるとは。一介の学生だった昔ならいざ知らず、今は逓信省に勤める身だ。民を指導する立場にあるぼくだ。幸いぼくを知る者が居なかったから良かったものの、大恥をかいてしまった” 腹立たしさを抑えきれない正三だ。自席に戻りはしたものの、書類の文字が躍っている。引出しのタバコで一服し、気持ちを落ち着けようとした。小夜子に対する思いが薄れた今、現在の己に尊敬の念を抱かないことに疑念を感じた。“御手洗武蔵とかいう市井の商売人ごときと比較されるとは、いかがなものか。国家の大事業にたずさわるぼくを見下すがごときふるまいは、断じて許せない。たしかに不実な面があったことは否めない。それはぼくが悪かった。しかし機密事項の作業中だったんだ、それは理解すべきだ。どうせ、金だろう。金のために、身体を許してしまったのだろう。それをぼくに知られることが怖くて、なじられることが怖くての、あの態度さ。正直に打ち明けてくれれば、ぼくにしても分別はある。事情が事情なんだ、許すことがあったかもしれないのに” 一本の煙草を二度ほど吸っては消し、すぐに一本に火を点けてまた消す。そんな繰り返しをつづけながら、終業の時間を迎えた。
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