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敏洋’s 昭和の恋物語り

ボク、みつけたよ! (四十三) 

2022年02月27日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



「男の沽券に関わる」と、男の美学から口にしないという逃げ口上を考えちゃうんです。でも実のところは修羅場になるのがいやなわけで、怖いわけです。いままで、誰にもいつのときでも、本音を吐露したことがないわたしです。どんなに辛辣なことばを投げつけられても、体をかわしつづけてきちゃったんです。まともに反論することはありませんでした。おのれに非がないと思っていても「面目ない」とばかりに頭を下げてしまうんです。それで収まるならいいじゃないか、とばかりに。
 言い訳をしないことが男の美学だとばかりに応じてきました。「男らしいじゃないか」。昭和の御代では、それでよかったのかもしれません。いっぱしの男として、クドクドだらだらと言い訳をしないことが、ある意味立派なこととして見られたかもしれないです。でもいまは、平成そして令和の時代ですしね。ジェンダーフリーが叫ばれていることですし。いや、正直にお話ししましょう。怖かったんです。むちゃくちゃな論理をふりかざしての言い訳が、どんなみじめな結果をもたらすか、想像しただけでも恐ろしい。まともな喧嘩など、一度もしたことのないわたしです。
「おとなしい子どもだ」。「優等生だね」。そんな評価を口にされるたびに「おくびょうなだけです」と、口にしたかった。けれどもできなかった。小学生ならばそれで良かった。中学時代には、そんなおのれにうすうす気付きながらも「家庭がムチャクチャなんだから」とごまかせた。しかし高校時代には、もうごまかしがきかない。もう家庭のせいには、父親のせいにはできない。おのれの、この性格が資質がうらめしい。なにごとからも逃げ出すを覚えた自分がうらめしい、腹だたしい。
文字を操る少しの能力を得たおかげで、作文の中に逃げ込んでしまった。「だって、だれも助けてはくれなかったじゃないか」いやちがう、真相はこうだ。「助けをもとめなかった」。ただ、それだけのことだ。みずから壁をつくって、他人を寄せ付けなかった。他人どころか、身内さえもだ。自業自得、そんなことばが頭の中をグルグルと回っている。今夜は、眠れるだろうか。
 室温は13度を下回っている。暖かいベッドからおりて、もう30分以上も冷気にさらされている。寒い、寒いよお。暖気がほしい。温風ヒーターがある。点火すれば、暖風をおくってくれる。室温も上がる。身体は寒がっているし、暖気を欲している。しかしこころが「要らない」という。室温以上に冷え切ったこころが、「要らない」という。
 目が冴えてきた。「このまま起きててもいいぞ」。身体がいう。頭の中もすっきりしてきた。パソコンを起動させて、ミミズがはったような悪筆を起こそうか。ねむくなったら、少しねむればいい。時間はあるさ。よしんば寝過ぎたとしたら、仕事は休めばいい。わたしの仕事など、同僚たちがカバーしてくれる。逃げろ、逃げろ、また逃げちまえ!  
 しかしこころが言う。こころが、また言う。「要らない」今日は今日、明日は明日。今日のために明日を犠牲にしたくない。今日の時間を失えば、今日を明日に使わねばならぬ。今日は今日、明日は明日。時間を区切りたい。ねむろう、明日のために。数時間ののちに訪れる明日という朝のために、ねむろう。
ねむらねば、ベッドに入らねば。こころが、わたしを後押ししてくれる。「身体が寒がっているから」こころが、ことばを見つけてくれた。

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