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敏洋’s 昭和の恋物語り

水たまりの中の青空 〜第二部〜 (百九十九) 

2022年02月25日 外部ブログ記事
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? ?ピンクのエプロンに身を包んだ小夜子――割烹着姿がまだ幅を利かせていてるなか、新時代の女を自認する小夜子の面目躍如だ。エプロンを身に付けた小夜子は、いつも機嫌がいい。ルンルンとおさんどんに精を出している。「小夜子。どうだろう、そろそろ」「なあに、そろそろって」「うん。だからな、月が変わったらな……」 歯切れの悪い武蔵のことばに「月がかわったら、なあに?」と、あくまでとぼけてしまう。 分かっている、分かっているのだ。そしてそのことが、小夜子を不機嫌にさせる一因だとも知っているのだ。
「いやなにな、そろそろご挨拶にな、行こうかと」 振り向いた武蔵の眼前に、眉間にしわをよせた小夜子がいた。「挨拶って、なあに? なにしに、どこに行くのかな、タケゾーは」 軽やかなトーンの声が、武蔵の耳に鋭くつきささる。「いや、もういいかな、と。茂作さんも、気をもまれているのじゃないかと、そう考えるんだが」「行ってきたら」 冷たく言い放つ小夜子。刺身を盛る手がふるえている。
「お金ちょーだい!」 突然の嬌声に、思わず立ち上がった。「な、なんだ、藪から棒に。どうしたって言うんだ」「タケゾーとは暮らせなーい。あたし、お父さんに『正三さんのお嫁さんになる』って、そう言ったのよ」 抑揚のない低い声でつげた。眉間のしわがきえ、目は涼やかに笑っているようにもみえる。ふるえていた手も落ち着きをとりもどし、エプロンのひもをはずしている。
「あんな不人情な男なんぞ忘れてしまえ。俺の嫁さんになれ、小夜子。絶対におまえを幸せにしてやる。贅沢な暮らしをさせてやる。茂作さんにも不自由はさせん」 喉にひりつきを感じるなど、ここのところなかったことだ。美容院での異変を知らされて以来のことだ。「小夜子に相談をせずに、事を進めたのは悪かった。小夜子の気持ちが固まったと思ったんだ。もう他人じゃないんだ、俺たちは」
「そ、そんなの、勝手にタケゾーが。あたしが望んだことじゃないし。タケゾーが無理やりにあたしを……、そうなんだから。そうよ、そうなのよ。あたし出て行く。だから、お金ちょうだい」 その場に泣き崩れてしまった。今夜ばかりは武蔵も思案にくれた。なにに対しての小夜子の怒りなのか、判然としない武蔵なのだ。これほどの拒否反応をしめすとは、思いもかけない。

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