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敏洋’s 昭和の恋物語り

水たまりの中の青空 〜第二部〜 (百九十三) 

2022年02月04日 外部ブログ記事
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 知らぬ間に眠りこけていた茂作が目を覚ましたのは、少し外が白々とし始めたころだった。「ううぅ、ぶるる。いかんいかん、こんな所で寝てしもうたか。もう夜が明ける。また、一日がはじまるのか」 皆がうらやむ茂作の一日、それは茂作にとっては地獄の日々だった。これといってすることのない、無為な一日。日がな一日を囲炉裏端で過ごすことが多くなった茂作だ。日々の糧を得るために忙しく動く村人を、なんの感慨も無く見つめる茂作。そのまなこからは光が失われている。
「のんびりできて、ほんとに茂作さぁは幸せものじゃて」 そんな言葉のかげに、村人のさげすみの色を感じる。「おちぶれたものよ、茂作も」「タキさんがおったころは、働きものじゃったに」「娘がべっぴんさんだけに、おかしゅうなってしもうたの」はたから見れば、ほおけた老人に見えてしまっている。茂作もまた、村人たちの陰ぐちを知らぬ訳ではない。
「何ということじゃ、まったく。小夜子からの仕送りとばかりに思っていたものが、みたらいとか言う男からだったとは。いかんぞ、いかんぞ、茂作。これでは娘を売って日々の糧をえているようなものじゃ。茂作、立て!」 己を鼓舞して立ち上がる茂作だが、気持ちとは裏腹に、腰が上がらない。腰に力が入らない。
ならばと片手をついて起き上がろうとするが、腕の力もまた茂作の体を支えきれない。“どうしたことか! 昨日までは立てたのに。今朝には力が入らないとは。どうなってしもうた? わしの体は。他人の体に思えるぞ”うろたえる茂作。着物の袖を押さえつけていては起き上がれる筈もない。しかしそのことにすら気付かぬほどに、打ちのめされていた。「こんなところで終わるわけにはいかん、もうひと踏ん張りせねば」

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