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敏洋’s 昭和の恋物語り
ボク、みつけたよ! (二十六)
2021年12月19日
テーマ:テーマ無し
「聞いたことがない話だ」。「この地では初めて聞いた」。
そりゃそうでしょ。この話は、いま思いついた、わたしの創り物ですから。
そんな怒らないでくださいな。初めに申し上げたでしょ? わたし、嘘吐きだって。
まだお怒りですか? なんだか旅行記みたいな風になっていたので、あくまで物語りなんですよと、いうことなんです。
でね、帰りはバスにしました。テクシーはもうイヤですし、タクシーはお金がかかりますしね。
第一、目の前にバス停があるのですから。ちょっと休憩しながら待ちますよ。
待ち時間は、15分ぐらいでしょうか。
ところが、時間になっても中々来ません。電車は正確ですが、バスとなると交通事情が違いますからやむを得ませんかね。
ああ、竜巻地獄のことをお話ししていませんね。今のうちにちょこっとばかし、行きましょうか。
どんな地獄なんだと、正直わくわく感で一杯です。
空気が渦を巻いて巻き上がる、これが竜巻なんでしようけれど、吹き上がっているんだろうなとは思っていたんです。
でも、時間割みたいなのがありまして、「少しお待ちください」という立て看板が入り口前に置いてあります。
土産品がずらりと並んでいましてね、その間にお買い求めください、と。いやな予感がします。
結論から言うと、間欠泉でした。
あちこちに存在しているんですがね、ここの間欠泉は特異なものだということなんですね。
休止時間が30分程度と短いこと、そして噴出時間が長いということがです。
さらには高さが30mほど噴き上がるとか、危険防止のために屋根を付けましたと説明書きがあります。
安全第一、ですか。確かにねえ、安全には気をつけねばになりませんがねえ、自然の豪快さがねえ、消えちゃうんですよねえ。
どうにも最近は、安心安全という言葉が大流行りですね。
最たるものの一つが、いや二つか。
公園なんかの遊具の撤去問題やら、運動会やらでの騎馬戦に器械体操の中止とか。
子どもたちの体力低下が原因ですかねえ。
ああ、来ました、来ました! と、わたしの後ろに20人ぐらいでしょうか。
皆さん、行儀良く(外国人も含めて)並んでいます。
まあ、道路際ですしねえ、危ないですから。結構な数の車が行き交っていましたし。
なんてこったい! 小1時間近く掛かって歩いてきたというのに、バスだとわずかに10分かい。
流れゆく景色の味気ないことといったら、立ち上る湯煙なんか、すぐに視界から消えちゃいます。
きつかったけれども、やっぱり歩いて正解でしたね。
そう思うのは、アナログ人間だからですか。
歩いたといえば、半世紀ほど前のことです。20代前半でした。
柳ヶ瀬という歓楽街からアパートまでです。酔っ払ってのことでしたから、おそらくは小1時間は歩いたと思います。
午前零時を回ってのご帰還ですが、タクシーが捕まりません。
とにかく人人人でして、大通りは勿論のこと柳ヶ瀬地区から少し離れた四方の一角にも人がたむろしていました。
かくいうわたしも、戻ってくるタクシーを早く捕まえようと放射線状に広がりつつ歩いたんです。
時折戻ってくるタクシーに出逢いますが、そこはプロですね。離れた場所にいる我々は相手にしません。
やはり行儀良く待っている中心部のお客の元へと走って行きます。
酔っ払っているわたしにはそんなことに思いが及びません。ただただタクシーを探して歩きます。
で、気が付いたら相当な距離を離れているわけでした。
ネオンサインは遙か遠くで、街灯すらもまばらです。
灯りといえば、空に浮かぶお月さまだけです。時折過る厚い雲なんかで遮られると、真っ暗になることもありました。
でも、何とかたどり着けるもんですね。
ああ、あなたにも経験があります? ですよねえ。
案外の所「おれ、どこに居るんや」なんて口走ったりしていたかもしれませんね。
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