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敏洋’s 昭和の恋物語り

水たまりの中の青空 〜第二部〜(百三十一) 

2021年09月07日 外部ブログ記事
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「うそ! ちっとも帰って来ない! 二ヶ月ぶりよ、お日さまの高い時間に、お家にいるの」
 いつもの武蔵を詰る声が、やっと出た。
「そんなに、なるか?」
「そうよ! 帰って来ない日だってあったんだから」
 ぷーっと頬をふくらませて、口を尖らせる。
「いやそれは。関東から離れると、どうしてもな」
「ほんとに、全部お仕事? 浮気してないの! お土産のない時がある!」

 立て続けに非難の言葉を吐く小夜子に「そりゃ、すまんすまん。今度からは、忘れないようにするから。な、な、忘れないようにするから」と防戦一方の武蔵だ。
“女っていうのは、ほんとに鋭いな”と、舌を巻く。
確かに出張だと偽っての浮気もある。
英雄は色を好むものだとばかりに
「和食ばかりじゃ飽きも来るもんさ、たまには洋食や中華も食べてみたくもなるさ」と、五平にうそぶいたことがある。
「女の嗅覚は馬鹿に出来ませんよ、ほどほどに」という五平の言葉が重く感じられる。

「あたしの知らないうちに帰ってるし」
「そりゃあ、小夜子を起こしちゃ悪いじゃないか。抜き足、差し足、忍び足さ。どうだ、落ち着いたか?」
「うん……」
「どうした? 何が悲しかったんだ?」
 華奢な小夜子の手を、両手で包んで聞いた。
「あのね、お料理がね、うまくできないの。お千勢さんに教えてもらえば良かった……」
 肩を落として、小夜子が答える。
「なんだ、そんなことか。それじゃ、またお手伝いを入れるか」

 小夜子の手を、ピシャピシャと軽く叩きながら、“解決したぞ”とばかりに、相好を崩した。
「ダメ! あたしが、お料理するの!」
 武蔵の手を“ピシャリ!”と叩いて、決然と言う。
「そいつは嬉しいな、小夜子の手料理が食べられるんだな。それじゃ、どこか教えてくれる所を探してみるかな」
「お願いよ、早くね!」
「ああ、分かった、分かった。美味いもの、食べたいからな」
「ああ、やっぱり、不味いって思ってる!」
「不味いとは言ってないぞ。美味いのを食べたいだけ、やめたやめた。とにかく、夜はビフテキだ!」

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