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敏洋’s 昭和の恋物語り
ぼく、みつけたよ! (一)
2021年09月04日
テーマ:テーマ無し
すでに旅行記にてお話ししたことですが、九州旅行に出かけた折のことを、物語り風にしてみようと思い立ちました。
キャラを際だたせるつもりですので、違和感を感じられる方もいらっしゃるかも?
まあ最後まで進めば、そのキャラも許されることになるのでは……、なんて勝手に思い描いていますけれども。
できますれば最後までお付き合い願えればと思うしだいです。
コロナが落ち着いたら、もう一度九州旅行に出かけてみるつもりですが、今度は鹿児島から回ろうと思っているんです。
復興中の熊本城をどうしても見てみたいのです。
そして伊万里市に入り周辺の町をじっくりと回ってみたいものです。
そして博多に寄って、福岡市のお城を見るつもりです。
その後広島市で原爆ドームの見学です。
ここは、日本人のルーツの一つみたいなものでしょうから。
−−−−−
齢七十となり、チラホラと訃報が届きます。
若過ぎた死を悼む声もあれば、大往生でしたねと慰める声があります。
そんな中、わたしもそろそろ終活を意識せねばと思い始めたのです。
といっても独り暮らしのわたしですし、特段これといって遺したい物もありません。
もっともわたしの遺物などを欲しがる人がいるはずもありませんが。
そうだ、これは欲しがる人がいるかもしれません。
4Kテレビなんですがね、家電量販店で買い求めました。
その折りの笑うに笑えないエピソードを聞いてもらいましょうか。
わたしという人間の一端が分かっていただけるかもしれませんし。
そもそもはパソコンの購入で出かけたのですが、いつの間にかテレビの話になってしまいました。
わたし絵画を観るのが好きでしてね、ちょくちょく美術展に出かけます。
そんな話を販売員としていましたら、テレビの画面が水族館から突如、ルーブル美術館に変わったんです。
モナリザが出てきましてね、驚きました。
なるほど違いますわ、確かに。
絵の具のひび割れ具合までくっきりと現れています。
思わず額をくっつけてしまいました。
苦笑いする販売員に気付いて画面から離れましたけど。
「結構いらっしゃるんですよ、画面に顔を付ける方が」なんて声が聞こえました。
わたしを慮ってのことではなく、事実のようですね。
けれどもそのまま真後ろに離れたのではなく、意地悪心がムクムクと湧いてきまして、斜め横から見てみました。
思わず唸ってしまいました。
販売員の言を借りれば、「そのまんま」でした。
どういう意味かというと、歪みゼロ、輝度不変、あといくつか特徴を話してくれましたが、耳に入りませんでした。
最後に、音質の説明です。
左右はもちろんのこと、上下からも音が聞こえるそうで。
つまり、音に包まれる感覚になるとか。
大げさに言えばですが、と前置きされての話は(こいつ、できるな)と思わされました。
「宇宙空間です」。
「ソファに座られて目を閉じて頂くと、身体が宙に浮いた感覚を味わえます」。
「音が上下左右からまとわりついてくる感じです」。
「本店に行ってもらえれば視聴ルームを用意してまして、そこでならば体感して頂けるのですが。東京ですから……」と申し訳なさそうな顔を見せるのです。
本音を言えば8Kが欲しかったのですが、価格がねえ。
とてもじゃないですが手が出ません。
それより何より大きすぎます。
六畳の部屋に六十インチの大画面はダメです。
で、やむなく4Kの四十三インチにしました。
価格ですか? 奮発しました、これは。
六桁ですからね。清水の舞台から飛び降りるなんて、もう古いですかね。
分不相応だとは分かっています。
分かってはいますが、どうしても欲しかったのです。
脳に大量のアドレナリンが分泌されてきました。
その気になったところで、地獄に落とされました。
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