メニュー

最新の記事

一覧を見る>>

テーマ

カレンダー

月別

敏洋’s 昭和の恋物語り

水たまりの中の青空 〜第一部〜 (四十三) 

2020年12月09日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



「ごめんなさい。あたしもおしゃべりしたいんですけど、ほんとに時間が……」
「ちょっと! アナスターシアよ、世界の憧れの的の、アナスターシアよ」
 信じられない思いだった。断るなどということは、ありえないことだ。
銀幕のスターたちでさえ、会いたがるのだ。
実際、雑誌社からの取材申し込みが殺到している、と聞いている。
対談の申し込みも、だ。それを、この娘が断る、と。

「あなた、どうかしてる。絶対、おかしい」と、翻意するよう詰め寄った。
「アナスターシアはね、北の国の生まれなの。
王家の血筋を引いているという噂もあるのよ。
どういう経路で今に至ってるのかは、詳しくは知られてないの。
本人が話したがらないのでね。今は、マッケンジーと一緒に世界中を旅してるの」

「あのお、ひょっとして、ロマノフ王朝のことですか? 
確か同名の皇女さまがいらっしゃったと思うんですけど」
「へえ! あなた、博学ね? 良く知ってるじゃない。
そうなの、そうなのよ。真偽は分からないけど、ロマノフ王朝の末裔か? って、ことなの」
「サヨコ、サヨコ、」と、前田を押しのけて、アナスターシアが隣に座った。

「プリーズ,ウィズミー!」
 小夜子の手を握り締め、涙を浮かべて懇願し始めた。
そして前田に対し、早口で思いの丈を訴えた。
驚く前田は、何度も頷いた。
「小夜子さん。本気みたい、アナスターシア。本気で貴女と家族になりたいみたいよ。
一緒にね、世界を旅したいって言ってるわ。
それが叶わぬなら、アナスターシアがこの日本に留まってもいいって。
そこまで、言ってるわ。果報者ね、あなた。世界一の幸せ者」

 興奮気味に話す前田。すがるような目で、小夜子を見つめるアナスターシア。
大粒の涙をこぼすアナスターシア、つられて小夜子も涙した。
離れた場所で、呆れた表情を見せるマッケンジー。小夜子は困惑の極に陥った。
「嬉しいんですけど……」
“お願いだから、OKしてよ。あたしの為にさあ”
 声に出したい衝動をグッとこらえて、前田の説得が続く。

「そうだ。あなたさ、仕事だと思いなさい。ね、お金、もらってあげるからさ。ね、そうしなさい」
「いえ、そんなもの」
「じゃあ、なに!」
 苛立つ前田は、語気鋭く迫った。
事の成り行きを見守っていたアナスターシアが、前田がいきり立っての強い言葉に烈しく怒った。
「ノー、ノー。プローハ!」と、前田に噛みついた。

>>元の記事・続きはこちら(外部のサイトに移動します)





この記事はナビトモではコメントを受け付けておりません

PR





掲載されている画像

    もっと見る

上部へ