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敏洋’s 昭和の恋物語り

水たまりの中の青空 〜第一部〜 (四十) 

2020年12月02日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



“ゆっくりよ、ゆっくり。急いじゃだめ、いいわね小夜子。
手は、左手は、ちゃんと胸の前に置いてね。
指の先までピンと伸ばすのよ、肝心なことだから。
それから、歩き方に注意して。体が烈しく上下に動かないように。いいわ、いいわよ。
上手くいってる。ほら、みんな見とれてるでしょ? あたしに、みんな見とれてるのよ。
こんな大勢が、あたしにひれ伏してるのよ。
見てよ、外人を。嬉しそうな顔して。
そうよ、あたしは蝶になったの。アゲハ蝶に変身したの。
もう田舎娘だなんて、バカにさせないわ。小娘だなんて、言わせないわ”

 紫のスカーフを、頭から首そして肩へと流す。
インドの民族衣装サリーを纏っての、小夜子。
真一文字に結んだ口が、ふっと緩んだ。
「菩薩さまだわ、弥勒菩薩さまだわ!」
 エレベーターで会った老婦人から、ため息と共に洩れた。
その言葉がきっかけとなり、一斉に拍手が沸き起こった。
正三も立見席で激しく手を叩き、賞賛した。
“小夜子さん、素敵です。僕は、ほんとに幸せ者です。貴女とご一緒してきたのですから”
 会場に居る全ての人に、今すぐ宣言したい思いに駆られる正三だった。

「Good,Good!」
 拳を握り締め、力を込めるマッケンジー。
東洋の神秘を演出したいと言うマッケンジーの思いは、見事に観客を魅了した。
「Graet!」
 前田の差し出す手を、満面に笑みを湛えてしっかりと握るマッケンジーだった。
その後小夜子による少女向けの新作モードショーが始まり、清楚さを強調するモードが披露された。
しかし残念ながら、サリー姿の小夜子が強烈なイメージとなり、違和感を感じる者が殆んどだった。
マッケンジーの度肝を抜く作戦は当たったものの、あまりの強烈さが裏目に出てしまった。
「Mistake! Mistake!」と、頭を抱えるマッケンジーを見て
“モデルの使い方を誤ると、こうなるわけね。
良い勉強になったわ”と、ほくそえむ前田ふみだった。

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