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敏洋’s 昭和の恋物語り

水たまりの中の青空 〜第一部〜 (二十二) 

2020年10月21日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



 澄江と小夜子の父慶次郎との出会いは、予期せぬ出来事ではあったが、一方で仕組まれたものでもあった。
特段に周到な計画が練られたものということではなく、若い娘たちのちょっとした思いつきのものだった。
働き者だとの評判が、澄江の周りの娘たちには癇に障ることだった。
事あるごと責められることに娘たちのいらだちが頂点に達した。
今までにも澄江に対するいじめはしてきたつもりなのだが、その効果はまるでない。

「あんたを見習って顔に白粉の代わりに土でも塗ったらどうだ」って親から言われたわと、嫌みの言葉を何度投げかけても「皆さん、きれいな肌でうらやましいわ」と、素直に受け止められてしまう。
それではと道ですれ違っても挨拶することを止めての無視を仕掛けても、毎日を忙しく送っている澄江にとってはかえってありがたいことになってしまう。
それどころかそのことが娘たちの親に知られてしまい
「おしゃれに気を使ってるお前が、どうして澄江ちゃんより…」
「澄江ちゃんの、爪の垢でも煎じて飲みな!」と、叱られる結果になってしまった。

 日ごろのうっ憤を晴らすため、「恥をかかせようよ」と話し合われた。
その役を澄江にやらせようというのだ。
事前には知らせずに当日になってその事を告げられた澄江は、当然のごとくに辞退した。
舞台に上がってのこと故に、それなりの着物を用意しなければならない。
しかし澄江にそんな着物があるわけもない。
芝居の前には畑仕事があり、そのままもんぺ姿で来ていた。

 辞退させてくれと、懇願したものの誰も相手にしない。
止むなく窮余の策としてかっぽう着姿で上がることにした。
演目の一つが〔瞼の母〕だということら「芝居の中から、出てきたことにさせてください」と申し出た。
そんな澄江の機転が面白がられた。
拍手大喝采の中、座長ではなく看板役者の慶次郎が花束を受け取った。
そうなると、恥をかかせるつもりだった娘たちの気が治まらない。

「慶次郎さまのお手を握るなんて!」
「なにさまの、つもりなの!」
「どういうつもり!」
 詰め寄る娘たちの前で、澄江はグッと唇をかむだけだった。
「いい加減にしろ!」
 澄江の前に、白馬の騎士が現れた。

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