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敏洋’s 昭和の恋物語り

水たまりの中の青空 〜第一部〜 (十六) 

2020年10月07日 外部ブログ記事
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「ふみ子ったらね。後藤さん家の新屋のくせにさ、着物を新調したんだって。
ううん、小夜子はね、着物はいらない」
 大福を喉に詰まらせながら慌ててお茶をすする茂作に
「だから、着物はいらないって。その代わりに、お帽子が欲しいの。つばの広ーいお帽子が」
 と、こにやかな笑みを見せた。

「そ、そうか。帽子でいいのか、着物じゃなくて」
「そう、お帽子。小夜子、聞き分けのいい子でしょ? 
お父さんを困らせるようなことは、言わないわよ」
 ほっと胸を撫で下ろす茂作だったが、はてさてどこで見たものかと気になりだした。

「で? どこのお店にあったんだ?」
「うん。millinerという、お帽子専門のお店よ」
「はて? 隣町にそんな名前の店、あったかな」
「いゃあねえ。あのキャバレーと同じ通りに、あったじゃない」
 こともなげに言う小夜子に、茂作は困惑した。

「どうやって買うつもりだ? また出かけると言うのか?」
「大丈夫よ、お父さん。佐伯家の正三さんがね、次のお休みの日にお出かけになるの。
それでね、お願いして連れて行ってもらうつもりだから」
「小夜子。もらうつもりって、あちらの了解は取ってるのか?」
 目を輝かせている小夜子に、危うさを感じてうろたえる茂作だった。

「大丈夫、大丈夫。心配ないわよ」
 笑みを浮かべながら小夜子は離れた。
“一人で行くなんて言ったら、顔を真っ赤にして怒るでしょうね。
さあてと、急がなくちゃ。話を合わせてもらわなくちゃね”。

 相手の正三はまったく知らぬ話だが、また正三と面識のない小夜子ではあったが、正三の妹が小夜子の後輩学生として同じ女学校に通っている。
その娘を間に入れれば、問題ないと考えている。
“あたしの頼みを断る男なんて、独りとしていないわよ”。
傲慢とも思える考えが、小夜子には浮かんでいる。

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