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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛物語り 水たまりの中の青空 〜第一部〜 (二) 

2020年09月03日 外部ブログ記事
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“そうか、俺も他人さまにうらやまれる男になったか。
いや、妬まれているといったほうか…? 
しかし、人生ってのは分からんものだな。
どこぞでのたれ死ぬ運命だろうと思っていたのに。
軍隊に入って、女衒という生業がばれてからというもの、地獄のような毎日を送っていたものを。
これまでかと腹を決めたときに、武さんが現れた。
こんな俺なんかをかばってくれて、一緒に殴られ続けてくれて…。
結局、武さんの御手洗という苗字にかこつけて、便所当番を言い渡された。

けども何が幸いするのか、分からんものだ。
『ずっと、厠掃除をやらせていただきます』なんて、武さんが言い出して。
まあそのおかげで、口で罵られることはあっても殴られることはなくなった。
『厠の臭いが移るぞ』という軍曹のひと言で、ぴたりと収まった。
武さんには分かっていたのか、それとも事前に話を付けていたのか…。
まったく凄いお方だ。

更には、『厠は、宝の山なんだよ。開けてビックリ玉手箱だって』と言い出す始末だ。
始めは何のことか分からなかったが、実際の戦況を知ることができたし、下士官たちの下世話な噂話も耳に入ってきた。
そのことで、多少のおいしいこともあったし。
しかし何と言っても一番の収穫は、終戦の情報だ。
上官の話では、本土決戦だ! なんて勇ましい話を聞かされたけれども、その裏では、せっせと物資を隠匿してやがった。
もっとも、この情報のおかげで、富士商会を立ち上げることが出来たんだがな”

ソファに深々と腰掛けながら、ミラーボールに照らされる天井を見上げた。
故郷で見た夜空の、目映いばかりに輝いていた満天の星が思い出される。
可愛がってくれた祖母との会話は、縁側に腰掛けてのものだった。
「いいか、ごへいよ。お天道さまは、みいんなお見通しだ。
どんなに上手に隠したところで、お空の上からは丸見えだ。
お天道さまのいない夜には、ほれ、あのお月さまが見てなさる。それに、お星さまもだぞ」
「分かってるって、ばっちゃ。他人さまから後ろ指さされるようなことはしないって」

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