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敏洋’s 昭和の恋物語り
狂い人の世界 [第一章:少年A]
2020年05月19日
テーマ:テーマ無し
ここは審判の部屋に向かう一つ前の、審問の部屋とでも言えばよろしいのでしょうか。
すりガラスの窓ですのではっきりとした光景は見えませんが、何とかして……。
ありがたい、少し開きました。これならなんとか見えそうです。
じめじめとした石畳の床にひざを突き、両手を太ももにおいて首を項垂れている少年が見えます。
白い長袖のカッターシャツに黒い長ズボンをはいています。
そのズボンの所々に鉤裂きの裂け目が二ヶ所ほど見えています。
そこからのぞき見える小さな切り傷からは少しの血が滲み出ていますね。
その匂いにひかれてなのか、1センチほどの足の長い虫がザワザワと集まり始めています。
おお、気持ち悪い!
真っ赤な少年の血が床に滴り落ちるのを待っているのか、少年を取り囲むようにしていますよ。
少年はそのことには気付いていないようですね。
なんと言いますか、うつろな表情、そしてまたうつろな目ですねえ。
どういう心境なのでしょうか、諦観? 自暴自棄? 絶望? 銷魂。うーん、どういう言葉を選べばご理解いただけるでしょうか。
平たく言えば抜け殻なんですね。
もう30年以上レポーターとしてやってきましたが、この少年ばかりは……。
なるほど、閻魔大王が口ごもられたことも理解できます。
赤黒い石壁のそこかしこからは、赤みがかったどす黒い液体が染み出しています。
とろみの入ったその液体は、身動き一つしない少年の心の移ろいを推し量るように、時に滴り時に留まりながら右に左にとさながら生命体のように動き回っています。
突如、薄ぐらい部屋の上部から一本の光の筋が降りて、少年を浮かび上がらせました。
少年=ぼくは狂っちゃいない! 世間の奴らが、狂ってるんだ!
父さんも母さんも、学校の先生も友だちも、いや、みんながだ!
ぼくだけが正しい、とは言わない。でも、狂っちゃいない!
冷たい、いやそんな生易しいものじゃない。
恐ろしい世間の奴らよりは、曖昧さを拒絶するマネキンの方が、余程落ち着ける。
人間のように勝手な論理を振り回したりしないし、傍若無人な行為もしない。
口では、「弱者に優しい社会を!」なんて言うくせに、強者の論理で行動してるじゃないか!
ああ、閻魔大王が見えます。
えっ! 先ほどのどす黒い液体は、まさか! 閻魔大王だったのでしょうか。
わたしの目の錯覚だったのでしょうか。
閻魔=私も色々の精神を患らった者に出会いますが、こんな少年は初めてです。
明らかに狂い人だと思いながら、一方で否定するのでございます。
と言うよりは、そうであってはならないのだ、
と私自身に言い聞かせているように、思えるのでございます。
まあ、私の話を聞いてくださいな。
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