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敏洋’s 昭和の恋物語り

 えそらごと (十二) 

2018年08月28日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



(俺だって○兵が安いということは知っている。だけど……)

「俺が安く買うという事で、小売りに問屋そしてメーカーの全てで利潤を圧迫することになる。
そしてそのことで社会全体の利潤が少なくなり、巡り巡ってうちの会社の利益低下を招く。
そしてそれは、俺の給料に影響してくる。だから○兵はやめた」
と、岩田に言い張った。
実のところは、その眼鏡店に美人の店員が居ると噂に聞いたことからなのだが。
しかし、噂はやはり噂だ。

「お待たせえ!」という声に、体中を緊張感が走った。
すぐにもふり返りたい思いを抑えて、「思ったより早かったね」と、ゆっくりと体を回した。
貴子が一人だけで手をふっている。

話が違うじゃないかと落胆の色を見せる彼に対して
「心配しないの、真理子ちゃんはお買い物中。
お弁当は作ったけど、デザートの果物が欲しいんですって。
あそこのスーパーで待っている筈よ、心配ないって」
 と、苦笑いしながら車に乗り込んだ。

「別にそんなこと……」
 と、不機嫌に口を尖らせた。
大きな音を立ててドアを閉めて車に乗り込むと、力まかせにギアを入れて発進させた。

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