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吾喰楽家の食卓

秩父の新蕎麦 

2017年11月04日 ナビトモブログ記事
テーマ:生活

蕎麦は、“三たて”に限るといい、挽きたて、打ちたて、茹でたてが、美味しい。
ところが、この蕎麦屋さん、それだけでなく、自家栽培した玄蕎麦を使っている。
蕎麦の他には、米や、干し柿も作っている。
だから、農繁期の九月と十月は、店を休む。
毎年、十一月から翌年の八月までが、営業期間である。
その上、大型連休は別として、毎週、金曜日から日曜日までの三日間しか店を開けない。
それ以外の日は、本業の農業をしている。
昨日の十一月三日が、今期の営業開始日だった。
待ちに待った、秩父の新蕎麦を食べられる日だ。
昨年も、一昨年も、パトさんと新蕎麦を食べに行ったが、今年は一人で行くことになった。

店は、午前十一時半の開店である。
どんなに道が混んでも、一時間あれば充分だ。
当初の出発予定よりも、一時間も早く支度ができてしまった。
家で待っても、店で待っても同じことだ。
文化の日は好天の特異日だが、御多分に漏れず素晴らしい天気なので、長瀞に寄ってから行くことにした。
秩父鉄道の長瀞駅から西長瀞駅に向かった、川の左岸にある『月の石もみじ公園』に寄った。
その名が示す通り、もみじが多く植わっているが、紅葉には少し早いようだった。
公園の前にある『埼玉県立 自然の博物館』には、小学生だった息子を連れて、何度も来たことがある。
隣接する旅館は、会社の行事で利用したことがあり、何れにせよ、この辺り一帯は懐かしの地だ。

長瀞に寄り道したが、お目当ての蕎麦屋へは、十一時前に着いてしまった。
時間に余裕があるときに限って、道は空いているものだ。
少々早くても、店の中で待たせてくれるが、三十分以上も早いので遠慮した。
中庭の駐車スペースへは入らず、道を隔てた駐車場で待つことにした。
私の愛車のナンバープレートは、地元の熊谷ではなく、県外である。
不審な車が停まっていると思ったのか、店のご主人が近づいて来たので、窓を開けて話しかけた。
「お店、今日からですよね。早く着きすぎたので、ここで待たせてください」
「今日からですが、ストーブを点けますから、中でお待ちなさいよ」
という訳で、ご厚意に甘えた。

元々は、ご夫婦二人で始めた店である。
そのうち内、息子さんが手伝うようになった。
息子さんが結婚し、お嫁さんも手伝うようになった。
その後、出産で手伝いを休んだが、昨年から、また、店に出ている。
そのお嫁さんが、お茶を出してくれた。
「今年は、蕎麦の出来がいいんですよ。台風の被害もほとんど無く」
「それは、良かった。去年は悪かったと聞いています」
「お湯が沸くまで、少しお待ちください」
「構いません。私が早く来すぎたのですから」
「ご注文を、先に伺っておきますが」
「田舎せいろ“大盛”に、天ぷらを付けてください」
一気に云ったのが、いけなかったのかも知れないと、後で思った。

ご主人が、話し掛けて来た。
「遠くから、いらしたのですね」
「寄居からです」
「えっ、お近くですね。車が県外だったもので」
「県外にいる息子が、買った車です」
暫く振りなので、私の顔を覚えていなかったようだ。
パトさんや、その友人の山靴さんが一緒なら、直ぐに分かっただろう。
「今年の蕎麦は、作柄が良かったです」
「そうですってね。今しがた、伺いました」

十五分ほど、待ったであろうか。
出て来た蕎麦は、瑞々しくて、見るからに美味しそうだ。
ところが、大盛の割には量が少ないと思ったが、敢えて訊かなかった。
金を払うときに、判るはずだ。
一口食べた途端、再び、ご主人が近づいて来た。
「如何ですか」
「美味しいです。新蕎麦だと思うと、なおさら、美味しいですよ」
「良かった。私は、今年の蕎麦を、まだ食べていないのです」
「いつも一緒に来る東京の友人が、来られなくなって。こんなに美味い蕎麦なのに」

お喋りをしながらでも、蕎麦を食べる手は、止まることがなかった。
あっという間に、食べ切った。
「味見をしている内に、蕎麦が無くなった」と云っても、過言ではない。
お代わりを、頼んだ。
「普通盛ですか」と訊かれたので、「はい」と答えた。
お代わりの蕎麦を見て、先ほどの蕎麦は普通盛だったと確信した。
二枚食べて、満足した。
満腹ではあるが、決して苦しくはなかった。

極楽!極楽!

   *****

写真
11月3日(金)撮影:月の石もみじ公園・秩父の新蕎麦



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喜美さんへ

吾喰楽さん

おはようございます。

ご案内したいけど、喜美さんのお宅からは、遠すぎますね。
次回は、いつにしようか、今から考えています。
美味しいの一言。

2017/11/04 07:55:45

朝食前

喜美さん

このお蕎麦今食べたいです急にお腹すいてきました 眺めていただけでは
満腹にならないから仕方なしに
ご飯食べます

2017/11/04 07:46:22

パトラッシュさんへ

吾喰楽さん

おはようございます。

ご都合が良いとき、いつでも声を掛けてください。
お供しますよ。

確かに、絵になる風貌の方ですね。
そして、登山家であり、写真家でもある。
ヒマラヤの写真だけでなく、カナダのイエローナイフで撮ったオーロラの写真も、店内に飾ってあります。

2017/11/04 07:35:04

NOVAさんへ

吾喰楽さん

おはようございます。

残念ながら、島根では、出雲そばを食べていません。
格安のツアーでしたので、駄目でした。

今でもあるのか分かりませんが、新潟駅の近くで出雲そばを食べたことはあります。
ですから、割子は知っています。
その時の気分で、好きな数を食べられる店でした。
仕事で新潟に泊まると、毎回のように食べていました。

2017/11/04 07:23:46

シシーマニアさんへ

吾喰楽さん

おはようございます。

有名になりすぎて、行列のできる店になっては困ります。(笑)

年金生活ですから、経済的な贅沢はできません。
でも、手間暇で済むことでしたら、労は惜しみません。
要は、食いしん坊なんですよ。

2017/11/04 07:18:14

行けばよかったぁ

パトラッシュさん

このところ、遊び過ぎたので、自重していました。
残念。
写真を見ていると、よだれが出ます。

蕎麦もさることながら、あの主人の風貌、味がありますね。
映画にでも登場させたら、いい脇役なると思うのですが……

2017/11/04 06:55:31

美味しくてあたたかい

さん

吾喰楽さん、おはようございます。
おいしくてあったかなお話、ありがとうございます。
吾喰楽さんは島根にいらっしゃったとき、出雲そばをお召し上がりになりましたか。
出雲そばは甘皮も一緒に挽くので黒い色のそばなんですね。
でも、香りがとても高いのです。
色黒だけどふくよかな香りで割子そばという独特の食べ方をするんですよ。

2017/11/04 06:54:33

美味しそうですね

シシーマニアさん

お箸の袋を、敢えて店名が見えないように置いたのでは・・?
昨年だったか、一昨年だったか、人気が出るのを心配してらしたの、うっすらと憶えています。

本当に、美味しい物のためには、労を惜しまないのですね。

2017/11/04 06:50:52

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