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敏洋’s 昭和の恋物語り

[宮本武蔵異聞] 我が名は、ムサシなり!(二十三) 

2017年08月27日 外部ブログ記事
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小次郎がムサシに目を移したとき、櫂を削って作った木刀を振りかざしながら、ムサシが波打ち際を走り始めた。
木刀をブンブン振り回しながら小次郎に間合いを計らせない。
宍戸梅軒との闘いにおいて会得した戦法を見せた。
いきなりの激しい動きに苛立ちを感じつつも、小次郎もまた走り続けた。
「臆したか、小次郎!」

 ムサシから半歩遅れる小次郎に、ムサシの怒声がふりかかる。
思わぬ事だった。恥辱だった。
未だかつて一度たりとも相手に臆したことのない小次郎だ。
否、相手方の逃げ腰を非難する小次郎だった。

これまでの試合前において人々の口の端に上る言葉は、皆一様だった。
小次郎への賞賛だけだった。
「此度も小次郎殿の勝ちよ。はてさて、一体どれ程の時がかかるものか…。
いやいや、相手が臆することなく挑めるかどうか…」

 なのに今、その言葉がムサシによって、小次郎に放たれた。
この決闘において町の辻々で交わされた言葉は、小次郎の負けばかりが囁かれていた。
「此度ばかりは、小次郎さまとてかなうまいて。何せ相手は、あのムサシだ」
「阿修羅の生まれ変わりと聞き申した」

 しかし小次郎には、それでも確固たる自信があった。
?燕返しから逃れられる者など、この世におらぬわ。彼の摩利支天でさえも?

「約束の刻限に遅れるとは、何ごとぞお!」
 愛用する長剣を右手に持ち、鞘を投げ捨てて、小次郎は走り寄った。

 波打ち際を走り続けるばかりのムサシは、その場に止まって決しようとする気配をまるで見せない。
小次郎に罵声を浴びせながら、唯々走る。
次第に小次郎の体力が奪われていく、胆力が失われていく。
野生児のムサシ、策士なり!

「敗れたりい! 小次郎。
何ゆえに、納めるべき鞘を投げ捨てる。
勝負を捨てたかあ!」

突然の、思いもかけぬムサシの言葉に、激しく小次郎は動揺した。
荒ぶるムサシの言葉に、翻弄された。
三尺にも及ぶ長剣の鞘、邪魔になりこそすれ、打ち捨てても何の問題もない。
しかし様式美にこだわりを持つ小次郎の心底に響いた。

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