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一瞬にして　

2017年08月16日
テーマ：シニアライフ

今日は、お香典返しの住所録を作った。

明日、三越へ行って頼んでこよう。


戴いた弔電も、ゆっくり読んだ。


「爽やかなお姿や、少年の様な笑顔を思い出しています」

「暫くお会いしていませんでしたが、又お会いしてビールを一緒に飲みたいと思って居ましたのに、、もう叶わないのですね」

「突然の訃報に、只驚いています」


爽やかな万年青年、でならしていたから、本当に驚かれた方々が多かった。


主人に比べて、私の方が余程不摂生をしていたので、必ず私が先に、と思っていたのに・・。



でも、見送る事ができて良かった。

主人のお陰で、散々楽しい思いをしてきたのだから、一人残して先に逝くなんて、心残りだったかも知れない。

主人と最期まで、一緒に居られたのは幸運だったと思う。



未だ、書類整理が色々残っていて、きっと主人は何も急がなくても良いんだよ、と言うだろうけれど・・。

一番気の重いのが、アメリカ時代の年金の手続きだ。

数年間の勤務にも拘わらず、驚いたことに今、年金が支払われているのだ。


主人は、半ばお遊びの様にその手続きを楽しんで、数年前のアメリカ出張の際に、わざわざ居住していたプリンストンに立ち寄って、銀行口座の整理などをしてきたらしい。

小さな金額だから、終生支払われるパターンでは無く、期限を決めたパターンを選んだ、とかで。

配偶者が、その選択に同意するという書名が必要とかで、数年前、大阪にある領事館へ行った。

公証人立ち会いの下で、書名をするために・・。


米国領事館だからか、今、という時代なのか、建物に入るにも、色々複雑な手続きがあった。

今まで、公証人なんて、小説や映画でしか出会ったことが無かったけれど、英語では「ノータリー」という、と聞いて一気に親近感を持った。

結構待たされた挙げ句、女性の「ノータリー」が

「Do you speak english?」と、私に訊いた。

「Well,japanese is better」と応えると、それからは流ちょうな日本語で対応してくれた。

年の功だなぁ。

若かったら、きっと、おどおどして、

「just a　little・・」とでも、小さな声で応えた事だろう。


主人の話によると、その年金は年に一度春先に、外国為替の口座に振り込まれていたらしい。

今私は、その口座を、閉じるに閉じられないで居るのだ。

主人の書棚を探してみると、分厚いファイルに整理してあるらしい書類があって、読みさえすれば手続きは出来そうである。

でも、私よりは多少、英語に強そうな子供達も、名古屋でじっくり取り組もうという気配は、なさそうだ。


今まで私は、文章を書くにしろ、英語を綴るにしろ、一応挑戦はしてみるけれど、家庭外に発信する前には、必ず主人のフィルターを通す、と言うことに慣れきってしまっていた。


そのフィルターを、今や一瞬にして失った私は、主人が長年積み重ねて習熟した知識や経験が、いとも簡単に消え去る、ということに、何だか不思議な気持ちを抱いている・・。

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