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敏洋’s 昭和の恋物語り

[舟のない港] (四十八) 

2016年05月23日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



辞表を提出したその夜、男は夜の街に出た。
資料室行き後は、誘う同僚もなく、また誘われることもなかった。
元来は、一人で飲むことを嫌う男だった。
誰かしらと連れだっての酒を好む男だった。
どちらかといえば誘われるのが多かった。

行きつけのバーがあるわけでもなく、かといって初めての店には不安を覚える。
いわゆる「ぼったくり」と揶揄される店に入りはしないかと、考えてしまう。
呼び込みに声をかけられるが、「後で、後で」と、片手をあげつづけた。
今更ながら会社人間であった己に、愕然とした。

そういえば、仕事仲間はいても友人と呼べる者はいない。
大学時代の遊び仲間とも、疎遠になっていた。
今、ひしひしと孤独感にさいなまれた。

アーケード街を折れて裏通りに向かおうとした折りに、
「お兄さん、暗いねえ。なんかあったの? 
彼女と喧嘩でもしたのかい。ならすぐに花でも買ってさ、あやまんな。
女の子はね、守ってやらなくちゃさ。
違う。なら、上司と喧嘩したの? 
勝てないよ、上に逆らってもね、良いことなんか一つもない。
よし、ぱあっ! と騒ごうよ。この店はね低料金の明朗会計だから」
と、男と連れだって歩きながら話しかけてくる。

頭の少しはげ上がった男で、青い法被を着ている。
背中にヌード姿の絵が描かれており、すぐにピンクキャバレーだと分かる。
男は、ひと声かけて反応が悪いとみるやすぐに次の客を探す呼び込みに対して、もうひと声あれば入ったのにと呼び込みの諦めの早さというか切り替えの早さに腹立たしささえ感じていた。
そんなときのしつこい勧誘は逆に警戒心を抱かせるものだったが、同僚たちの間で口の端に上っていたチェーン店であることから、「それじゃ」と歩みを変えた。

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