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敏洋’s 昭和の恋物語り

[舟のない港] (四十六) 

2016年05月19日 外部ブログ記事
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「いいか、すぐにも麗子を返せ! さもなければ、警察に訴えるぞ。
監禁罪だ、これは。どこだ、どこにいる! 
頼むから、麗子を返してくれ、お願いだ」

そこには、麗子自慢の紳士は居なかった。
唯々、娘の安否を気遣う父親が居た。
スーツも、よれよれ状態だった。
返り襟に張りはなく、前身もしわがひどい。後ろ身頃など、めくれ上がっている。
ひと晩中、ソファで麗子を待っていたに違いない。

「妻は寝込んでしまった。私も、殆ど寝ていない。
一昨日電話が入った。すぐにも帰って来いと言ったのに。
初めてだ、麗子が、私に逆らうのは」
男は言葉がなかった。黙って聞き入るしかない。

「御手洗君、ちよっと!」小声で、総務課長が男を呼んだ。
拙いことになった、と思いつつも
「ちょっと失礼します」と、声をかけ席を立った。

「どうしたの、君。プライベートな問題で、ロビーを騒がせては困るよ」 
「はあ、申し訳ありません。実は、中山麗子さんの父親でして」
「中山君? ああ、あの娘なら一昨日退職したよ。一身上の都合だといってね。
まあ、何か悩んでいるようだったが。で、どうしたの?」

男は、事の顛末を話すべきかどうか迷ったが、とりあえず分かっていることを話した。
交際はしていたが今は別れたことも話した。隠すわけにも行かなくなった。
「そう、家出したのか。ま、ここでは拙い。小会議室でも使いなさい」
と、総務課長の指示が出た。

一礼してコーナーに戻ってみると、麗子の父親はいなかった。
辺りを見回す男に、受付嬢が声をかけた。
「御手洗さん、あそこよ」と、肩を落としたまま歩を進める父親がいた。
慌てて後を追うと、「連絡が入りましたら、お知らせしますので」と、声をかけた。
しかし、返事はなかった。

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