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敏洋’s 昭和の恋物語り

[舟のない港] (三十八) 

2016年04月24日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



翌日の昼過ぎ、ミドリがやって来た。
兄にせかされまして、としきりに弁明した。
約束の時間は夕方の筈で、男はまだパジャマ姿だった。
飲みかけのコーヒーもそこそこに 、ミドリを外に待たせると慌てて着替えた。

「いやあ、失礼。いつも休みの日はのんびりしているので」
「いえ、私が早く来すぎました。ごめんなさい」
初めて訪れる男の部屋を見回した。
お世辞にも、片付いているとは言えない。
脱ぎっぱなしの下着類や、新聞紙に雑誌類が散乱している。
吸い殻で一杯の灰皿があり、空気は澱んでいる。
まさしく独身男の部屋だった。

ミドリは甲斐甲斐しく、男の制止も聞かず部屋の掃除を始めた。
ふと、麗子のことが頭を過ぎった。
麗子もミドリのようにさりげなく両親への紹介のことを持ち出してくれれば、修羅場にはならなかったかもしれないのにと、女性からすれば身勝手な思いがうかんだ。。

すっかり片付いた部屋で、男はミドリにコーヒーを勧めた。
「キリマンジャロというブランドコーヒー豆です。
青葉マークでしてね、豆については。
で、名の通ったブランド豆なら大丈夫だろうと思うんです」
その香りを楽しみながら、とりとめない会話を交わした。

小一時間ほど 話し込んだ後、そろそろという男に対してミドリはまだ早いからと腰を上げなかった。
男にしても異存はない。お礼の食事とはいえ、やはり緊張する。
レコードでも聴こうということになり、ミドリはストリングス系のレコードを希望した。
暫く聞き入っていた二人だが、男の、「ダンスの練習でも、しようか」という言葉に、ミドリはあの夜を思い出して、ポッとほほを染めながらも、頷いた。

「アン・ドゥ・トロア」と、ステップを踏んだ。
初めは足が合わず、男の足を踏んだりしていたが、男のリードで何とかスムーズに踊り始めた。

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