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敏洋’s 昭和の恋物語り

[舟のない港] (四十) 

2016年04月21日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



「いえ、それは…」
思い出したくないことだった。
部活をやめてまで打ち込んだ受験だったが、いや父親の手前へのポーズだったことを、麗子自身は知っている。
バレーにおいてセッターからトスが上がり、アタッカーの麗子が敵陣に打ち込む。
背丈が十分の麗子への高いトスを受けて、敵陣のブロックを嘲笑うかのように、その上から打ち下ろす快感。
「スパーン!」と切れ味を感じさせる音が、何より麗子の全身に高ぶりを生む。
必死に手を出すレシーバーだが、その指先から数センチのところに「ズドン!」と音が。
両手の拳を胸の前で握りしめて、雄叫びにも似た声を張り上げる。
観客席からのどよめきが会場全体に響き、麗子を称える声が上がる。
一年間の補欠を強いた監督へ「どうだ!」とばかりに、強い目線を注ぐ。
そしてチームメイトからの祝福の声が届くわずか数秒間が、これまでの十七年間の全てと取り替えても良いとさえ感じる麗子だった。

それを、父親によって奪われてしまった。反抗することさえも。
あきらめの心が麗子を包み込み、全てのことに対して投げやりになってしまった。
大学なんて…。
結局は滑り止めで受験した女子大学に入った。
「そうですか‥‥」
明らかに落胆の表情を、二人とも見せた。言
葉遣いは慇懃なのだが、その裏に学歴偏重意識が見え隠れしていることが、麗子の気に障った。

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