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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空〜(十九)兄妹みたいに育ってきたじゃないか 

2015年12月22日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



「早苗の気持ちは嬉しいよ。でもな、僕たち二人は兄妹みたいに育ってきたじゃないか」
涙目の早苗にティッシュを手渡しながら、低いトーンでなおも続けた。
「早苗の気持ちは嬉しいよ。こんなステキな女の子に想われ続けて、ほんとに嬉しい。
これは、本心だ。でもな、だめなんだ。どうしても考えられないんだ」

「いいもん、早苗はお兄ちゃんだけ、だもん。ほんとだよ。だから、早苗をお兄ちゃんにあげる」
「こらっ! また、そういうことを言う」
「お兄ちゃん、うそつきだ! 
早苗だってね、はじめの内は、お兄ちゃんとしてしか見てなかったよ。
でも、でも、お兄ちゃんじゃなくなったもん。だから、妹だなんて、うそだ。 
きらいなの、キライなの、早苗のこと」

詰め寄る早苗に対し、後ろずさりしながら答える彼だった。
「そんなことはない、そんなことは。嫌いだったら、とっくの昔に追い返してる。
そういう男女関係の感情ではないんだ。
もっと濃いんだ。身内なんだ、早苗は。
早苗、お父さん好きか? お母さん、好きか? 好きだよな。
それと同じなんだ」

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