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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空〜(十九)真理子が参詣を済ませた後 

2015年12月07日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



長老たちがざわつき始めたのは、真理子が参詣を済ませた後だった。
小声で、何やら話している。
真理子は気丈に、顔を上げたまま彼の元に寄ってきた。
真理子の家出を揶揄していることは明白だった。

「嫌になっちゃう。もう、慣れたけどね」
ペロリと舌を出す真理子に、彼は言葉をかけることが出来なかった。
真理子は、俯いたまゝ足元の石ころを蹴った。

「ねえ…このまゝ、ふけようか」
聞こえない程の小声で、思わず彼は聞きなおした。
「うん、なに?」
「だからさ…ぬけだそうよ」

絞り出すような声で、彼の脇腹を突付いた。
真理子が、周囲から白い目で見られていることに、責任の一端を感じている彼は
「いいけど…年が明けてからにしょうよ。今は、ちょっとまずいよ」
と、答えた。

「佐知子ー! ミタライ君、気分が悪いんだって。悪酔い、したみたいだよ」
突然、真理子が叫んだ。
「大丈夫?」
佐知子が飛んで来た。

彼の額に手を当てながら
「少し、熱があるみたいね。帰った方がいいわね。
どう? 一人で帰れる? 真理子、車で来てたわよね。
送って行ってくれないかしら」
と、真理子に振った。

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