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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空〜(十九)伸びちゃうわ、おそばが 

2015年12月03日 外部ブログ記事
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彼の母親である小夜子の、出産前の大騒動を思い出した。
父である武藏が起ち上げた冨士商会に出向いた折に、誰彼となく大仰な仕草で話してくれたエピソードを懐かしく思い出した。

?そうだ。確か、同じ姓の竹田勝利というおじさんがいたっけ。
とってもやさしく世話をしてくれたんだ。
お母さんも、ずいぶんと我がままを言って困らせたって話だった?

?勝利のおじさんも、社長命令だとはいえ、私的なことに使われるなんて。
どんな気持ちだったんだろう、おじさんは。
昔は、通ったんだな、そんな無茶なことが。

今だったら、公私混同だ! って、大騒ぎだろうな。
よく言えば、鷹揚だってことかな?

「そうだね。太り過ぎは良くないって、聞いた気がするよ」
君代の顔がパッと明るくなり、我が意を得たり! とばかりに彼の手を握り締めた。

「そうなのよ! 出産時にね、辛い思いをするのよ。
それが、高木君には分からないのよね。佐知子も、流されちゃって。
お医者さんにも、言われてるのに。ご両親も、初孫なものだから。

そんなこんなで、最近、佐知子とはちょっとギクシャクしてるのよね。
今夜も迷ったんだけど、照子に引っ張られて…」
と、暗い顔付きをした。

「個人差もあるだろうし、軽くすむことを祈ろうよ」
「そうね、そうよね。さっ、食べよう! 伸びちゃうわ、おそばが」

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