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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空〜(十九)駆け付け三杯だあ 

2015年11月27日 外部ブログ記事
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部屋に入ると、皆、相当に出来あがっていた。
男たちは顔を真っ赤にし、女性陣も桜色に染まっている。

「さあさあ、駆け付け三杯だあ」と、田口が盃を差し出した。
「ちょっとお、田口君。席に座らせなさいよ、立ったままで飲んでもらうの? ミタライ君、ここにお出で」

和服姿の君代が、田口をたしなめた。
言われるままに、彼は君代の隣に座った。
座を見回してみたが、真理子の姿が見えない。
気にはなったが、反面ホッとする気持ちもあった。

「久しぶりね、元気そうじゃない? ?木君の話だと、お正月の三日過ぎに帰ってくると、聞いてたけど」
「うん、ちょっとね。予定が変わったんだ」

「彼女に振られたんだな、淋しい正月になったんだ。そうそうモテられたんじゃ、俺の立つ瀬がないゃ」
盃を渡した田口は、軽い悪態を吐いた。

「ハハハ、そうじゃないよ。
そうそう。広田君、照子さん。婚約したんだって? 
おめでとう。日取りが決まったら教えてよ、祝電を送るから」

盃を少し上げながら、上座の二人に軽く会釈した。
はにかみながらも、満面に笑みを浮かべる二人だった。

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