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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空〜(十九)わしは、あさってはおらんぞ! 

2015年11月10日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



「大丈夫ですよ、追い払いましたかしら」
「もう、恐ろしく大きな男でした。
わしの力では、太刀打ちできませんのじゃ。
嫁がおってくれれば、あんな男なんぞ。
嫁はですの、恐い女でしての、わしにご飯も食べさせてくれません。
干もじゅうて、干もじゅうて‥‥」

布団の中に潜り込んで、ガタガタと震えた。
足元を見ると、アンカが入れてある。
彼は、そのアンカを茂作の足元にずらしながら、
「大丈夫です。ちゃんと片付けますから、心配いりませんよ」
と、布団の上から肩を軽く叩いた。

「なにを! この若造が、何を言うか! わしは、あさってはおらんぞ! 知らん。
そんなこと、わしは、知らん!」
茂作が、突然に大声を上げた。
「お前じゃろうが! お前が、あさったんじゃろうが! わしゃ、知らん!」
頭まで布団を被りながら、彼を怒鳴りつけた。

「お帰り、タケくん。年明けだとばかり思ってたから」
いつの間にか、小夜子が後ろに立っていた。
「ただいま。佐山さんの会社で、大変な事件が起きたものですから」
彼はかいつまんで、事の顛末を話した。
「そうなの。怖いわねえね海外は」
「はい。ただ、この事は報道されていませんから、内緒にしてください。
ほんとは、母さんにも話しちゃいけないことなんですから」
「はい、はい。誰にも言いませんよ」

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