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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空〜(十九)「おたすけをお‥‥」 

2015年11月09日 外部ブログ記事
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毎年送られてきた盆栽によって、二十鉢ほどになっている。
茂作が元気なころの盆栽は活き活きとしていたが、痴呆が現れ始めてからは誰と言って世話をする者もいなくなり、今はそのすべてが枯れている。

処分しようとした小夜子に対し、茂作が頑として譲らなかった。
あれほどに嫌っていた武藏からの届け物なのにと訝る小夜子だったが、本家の初江から
「お婿さんからの届け物でしょ、茂作さんの宝物だったようですよ。
きっと貢ぎ物をされている気分だったのじゃないかしらね」
と言われ、得心した小夜子だった。

「どこですか? 隠れていなくて大丈夫ですから。孫の武士ですよ」
盆栽棚の横に、真新しい物置が置いてあった。
どうやら、最近設置したものらしい。
一坪ほどの大きさで、観音開きの戸が少し開いている。

「おたすけをお‥‥」
小声ながらも、今度は、はっきり聞こえた。
戸を開けると、縮こまって震えている茂作が居た。
「さあ、中に入りましょう」
抱え上げた茂作は、彼の想像以上に軽かった。
また一段と、痩せたように感じられた。

「ありがとうございます、ありがとうございます」
両手を合わせて、拝むように彼を見上げる茂作だった。
「泥棒が…泥棒が…」
台所を指差しながら、茂作はしきりに弁解した。
開け放たれていた冷蔵庫のことを、気にしているようだった。
彼が来る前に、誰かが訪れたのだろう。
咎められると思い、物置に隠れていたと分かった。

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