メニュー

最新の記事

一覧を見る>>

テーマ

カレンダー

月別

敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空〜(十八)婆ちゃん、婆ちゃん‥‥ 

2015年10月27日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



「ごめんね、由香里ちゃん。
明日の朝は、できるだけ早く帰ってきますからね。
ひと晩だけ、がまんしてちょうだい。心配することはないのよ。
そうそう、せんせいをあそこにご案内してあげてね。
せんせい、由香里をおねがいします」

父親に促されながら、母親は慌てて外に出た。
由香里は彼の手をしっかりと握りながら、不安げな表情を見せつつ二人を見送った。
くねくねと曲がりくねった道を、車が猛スピードで走り抜けていく。
余ほどにさし迫った事情があるのだろう。

由香里は小さな声を上げて、じっと見つめていた。
彼を握る手に力が入り、少し汗ばんでもいる。
なにか声をかけなければ、と思いつつも言葉が浮かばなかった。
由香里の肩を抱いてやるのが、彼のできる精いっぱいのことだった。

「せんせえ…さむい。中に入ろう」
車が見えなくなって、やっと由香里が口を開いた。
彼は、やっと呪縛から解き放たれたように感じた。
「大丈夫、心配ないよ」
「うん‥‥」
力なく答える由香里を、包みこむように抱き締めた。
重い足取りの由香里を、抱えるようにして歩いた。

「もう行きなすったかね? 嬢ちゃん、だいじょうぶかね」
お千代さんが、玄関先で待っていた。
由香里の目からみるみる涙が溢れ、その胸に飛び込んでいった。
「婆ちゃん、婆ちゃん‥‥」

「うんうん、心配ないって、のう。嬢ちゃん、このばばが居るからの、嬢ちゃんの大好きな先生ものう‥‥」
由香里の背をポンポンと叩きながら、
“嬢ちゃんをたのむよ”とでも言いたげに、彼に視線を投げかけた。彼は黙って頷いた。

>>元の記事・続きはこちら(外部のサイトに移動します)





この記事はナビトモではコメントを受け付けておりません

PR





掲載されている画像

    もっと見る

上部へ