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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空〜(十七)迎えに来たよー! 

2015年09月29日 外部ブログ記事
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タケくんも、もう立派な大人です。自分の行動に責任を持ってくださいね。
お母さんも、そうしたいと思っています。


彼の手紙に対する母親からの返信は、意外にも淡々としていた。
泣き言が書かれているものと考えた彼は、肩透かしを食らった。
ただ、気になる文面もあった。
額面どおりに受け取れば、子離れということになる。
しかし何か、釈然としない思いにかられる彼だった。

旅行当日、生憎の雨だった。
待ち合わせ場所に行くには、バスを利用しなければならない。
前夜の誘いを断ったことが、今更ながらに後悔された。
「泊まっていきなさいな。下着類は、旅先で揃えれば宜しいのよ。
小物は、宅にあるもので間に合いますし。
ご遠慮は、要りませんよ。その方が、良いでしょうに」

「そうだよ、先生。泊まっていってよ」
玄関先で交互に二人から声を掛けられたが、「そこまで甘えるわけには」と、固辞した。
厚かましい奴だ! と、父親に思われるのが嫌だった。
打算が働いてしまった。
父親の帰宅を待つ手もあったが、それでは、いかにも、と思えた。

ぐずぐずしている時間はない、待ち合わせの時間が迫っている。
幸い、雨は小降り状態だ。
スポーツバッグを傘代わりにすれば良いと、アパートを飛び出した。
車のクラクション音と共に、由香里の声が飛んできた。
「せんせーい! 迎えに来たよー!」
助手席から顔を出した由香里が手招きしている。
彼は、ペコリとお辞儀をしながら、車の中に飛び込んだ。
「雨になったから、迎えに来たよ。すれ違いにならないかって、心配したんだよ」

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