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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空〜(十七)佐山さんを頼りなさい。 

2015年09月23日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



*お詫び
またまた、やっちゃいました。
(十七)に入っていたのに、過去に戻っちゃいました。
三回分ですが、削除しました。
9月17日(木)の続きとなります。
毎度毎度、ごめんなさいです。
==============


その鬼気迫る雰囲気に、圧倒される彼だった。
場違いな人間にも思えた。
部屋の片隅で縮こまっている彼に、経営者が声を掛けた。

「御手洗君。君には、小学校の低学年を担当してもらいます。
いえいえ、ホテルでの特訓コースはありません。
そちらの方は通常通りに、三十日で終わります。
ですから、子供たちと仲良くやって下さい。
ピリピリとした雰囲気に、泣き出す子供達が出るんですよ、例年。
以前のように、優しく接してください。お願いしますね」

「分かりました、頑張ってみます」
その言葉を聞いて、胸を撫で下ろす彼だった。
「また、お世話になります」
講師たちそれぞれに挨拶をして回った。
「戻ってきてくれてありがとう」
皆から歓待の言葉を受けながらも、その表情には緊張感が漲っている。
使命感のようなものすら、感じる彼だった。

“やはり、社会は厳しいぞ。いつまでも学生気分で浮かれている場合じゃない。
来年には、就職活動に入らなければいけないんだ。
二流大学出身の俺では、蛍子さんの言葉じゃないが、いつはじき飛ばされるか分かったものじゃない。
『コネがあるなら、大事になさい』の言葉は、肝に銘じなければ”

「いいかい、御手洗君。佐山さんを頼りなさい。
由香里ちゃんのことで、えらく君を気に入ってるようだし。
佐山さんなら、きっと君を引き立ててくれる。
どうだい、この年末から正月にかけての旅行、ご一緒したら。
内の特別コースを勧めたんだが、由香里ちゃんが嫌がるらしい。
で、君に来て欲しいらしいんだ。
『せめて夜だけでも、受験勉強をさせたい』ってね。
由香里ちゃんも、君とならば、と言っているらしい。
五日間程度の、温泉旅行らしい。
君も帰省したいだろうが、就職のことを考えれば。分かるだろう、君にも」

塾長室に呼ばれての話に、彼は神妙に聞き入った。
否も応もない。彼は二つ返事で、応諾した。
「よし、決まった。三十日出発らしい。
だから、内では二十九日迄としよう。
三十日まで頼みたい所だが、止むを得ないでしょう」

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