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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空〜(十六)冗談だよね、冗談だ。 

2015年09月01日 外部ブログ記事
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きっぱりと告げる青年に対し、マスターは慌てた。
付き合いをやめるよう迫ったつもりが、本気だと告げられて困惑した。

「ねえ。結婚を、そんなに簡単に決めていいの? 
親御さん、反対なんでしょ? 当たり前だよ、そりゃ。
ねっ? お客さんもそう思うでしょ?」

「え、ええ。でもぼくはまだ学生の身ですし、そんな、結婚なんて考えられませんし」
はっきりとした意思を持つ青年に戸惑う彼だった。
牧子に対する思いがー結婚してもいいじゃないかと思った彼だったが、青年の決意の前には、海辺で押し寄せる小さな波にもろくも崩れ去る砂の塔に等しかった。

「考え直しなさいよ、悟くん。こんな小娘じゃ、後で後悔するよ。
あ、そうか。冗談だよね、冗談だ。人が悪いよ、悟くん」
ひきつった笑顔を見せながら、なおも翻意させようとするマスターだった。

青年は真剣なのだろう、本気で女を妻として迎えたいと思っているのだろう。
それはマスターにもひしひしと感じられた。
しかし、とどうしても考えてしまう。
問題は両親なのだ。おそらくは自慢の息子に違いない。
有名大学生だと女に聞かされている。教授連の受けも良いと聞かされている。

彼としては自慢話のつもりではないのだが、「あいつから聞いたのよ」と女が得意げに話した。
将来の不安を打ち消させるために話したのだ。
あるいは、女を幸せにするためにもキャリアとならなければと考えていたのだ。

「いえ、本気です。
ひょっとして、後悔するかもしれません。
でも結婚しなかったことを、後悔するかもしれません。
親からは『勘当だ!』って、言われてます。
友達からも、『一時の熱情に流されてるだけだ!』って、言われました。
でも、もう離れられないんです。
ぼくは、この通りのチビでしかもデブです。最悪です。
大学では、女子からは総スカンです」
作り笑顔のマスターに対し、青年は真っ直ぐに相対していた。

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