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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空〜(十六)そして、一ヶ月。 

2015年08月07日 外部ブログ記事
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一週間は、唯々、待った。
二週間目は、牧子の身に何かあったのか、と考えた。
しかし三週間となると、悲嘆にくれた
。と同時に、怒りが込み上げてくる。
“僕のことなんか、忘れてしまったの?”
“くそお、浮気するぞ!”

そして、一ヶ月。
やっと、牧子からの返信が届いた。
封を開けると、牧子の香が漂ってくるような、そんな錯覚を覚えた。
思わず、封筒に頬ずりをしてしまった。

ボクちゃんへ

返事が遅れて、ごめんね。
すぐにも書きたかったのだけれど、色々と考える ことがあって。

「私のことは、過去のこととして忘れてください」

結論から書いてしまっては、混乱するでしょうね。
でもね、お姉さんも考えて考えて、考え抜いた末の結論です。
お姉さんは、こちらで一生を終えることにします。
もう、就職先も決めました。
やはりのことに、両親をそのままには出来ません。

優しいボクちゃんのことです。
「ぼくが行ってもいいよ」と、言うでしょうね。
でもそれは、だめよ。一時の感傷で、暮らせるような場所ではありません。
それに、ボクちゃんには、大好きなお母さんやお爺さんが居るんですから。

それだけでは、納得できないでしょうね。
実は、お姉さん、お見合いをしました。
母方の遠縁に当たる男性です。
実直な方で、お姉さんの過去は一切問わない、と言ってくださいました。
次男であることから、こちらの家に入ってくださいます。
親の面倒を見ても良い、とまで言ってくださるのです。
来年の春には、式を挙げます。
ボクちゃんは、未だ若いのです。
これから、素敵な女性に巡り会う筈です。
私のような女に、関わっていてはいけません。 

ボクちゃんはね、お姉さんの中に、お母さんを見ているのです。
いえいえ、間違いありません。
お姉さんには、分かります。
責めているのではありません。
ボクちゃんのお母さんは、それは素敵な女性なのでしょう。
お話の端々から、良く分かりました。
でもね、そろそろ自立してくださいね。
そしてお母さんを、自由にしてあげて下さい。
まだお若いのですから、お母さんは。

ボクちゃんのことだから、この手紙を読みながら泣いてくれているでしょうね。
今まで、ありがとうね。
お姉さんは、今でもボクちゃんが好きです。
旦那様になってくれる方には申し訳ないけれど、一番好きです。
でも、結婚となると、話は別です。
ボクちゃんにしても、「結婚」という二文字には、未だ実感がないことでしょう。
その内、分かるようになります。

どうぞ、素敵な女性達と、たくさんの恋愛をしてください。
たくさんの別れを経験してください。
たくさんの、素敵な想い出を作ってください。
そしてその想い出の一頁に、お姉さんも加えてください。
今まで、本当にありがとう。
どうぞ、お元気でね。             かしこ

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