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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空・第一部〜(十四)大人の女の妖艶さ 

2015年06月25日 外部ブログ記事
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「それでね。子供さんが、熱を出したのよ。相当の高熱だったらしいわ。
で、学校に電話が入ったの。夕方の六時過ぎでね、当然のことに授業は終わっているじゃない。
ところが間の悪いことに、女子生徒の相談に乗っていたわけ。
恋愛相談なのよ、高校受験を控えたその娘のね。
で、岡田先生が怒ったわけよ。
『医者に連れて行け! 俺が帰ったところで、子供の熱が下がるわけでもないだろう!』って。
確かにね、岡田先生の言う通りよ。
でもね、奥さんにしてみれば心細いわけ。
『自分の子供より、生徒の方が大事なの?』と、なったわけ」

小原の熱い吐息が彼の耳をくすぐり、彼にしてみれば話を聞くどころの騒ぎではなかった。
小原の甘い香水の香が、彼を包んでくる。
牧子や耀子とは違った、大人の女の妖艶さに包まれていた。

気が付くと、岡田とママの姿が彼の視界から消えていた。
カウンターの中で、しゃがみ込んでいるようだ。時折、
「いゃあねえ、岡ちゃん」
「そうじゃないって」
「だめだってえ」
焦らすもんじゃ、ない」
等と、甘ったるい声が漏れ聞こえてくる。
「ちょっと待って、灯りを落としてくるから」
「こんな時間だよ。もう来ないよ、誰も」

聞き耳を立てていた二人は、お互いに顔を見合わせると
「もう出ようか」
「そうですね。その方が良さそうですね」と、囁き合った。
「あゝ、酔っちゃったあ。だめえ、もう飲めな〜い!」
と、小原がこれみよがしに叫んだ。

「あらあら、もう酔ったの? 大丈夫なの? 彼氏、送ってくれるかなあ」
と、素知らぬ顔でママが立ち上がった。
岡田は、まだしゃがんだままでいた。
「これで、失礼します。岡田先生に、よろしく言ってくださいね。トイレ、ですよね」
余計なひと言だったか? と後悔したが、後の祭りだ。
気づかぬふりをしたまま、外に出た。

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