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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空・第一部〜(十四) フレンドリーに 

2015年06月26日 外部ブログ記事
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 (五十六)

「やっぱり、あの二人は出来てるわね。まあ、岡田先生も男だしね。
ママだって、まだ女盛りだし。そう思わない?」

小原の何気ない言葉が、彼に母親のことを思い出させた。
体にまとわりつく生暖かい風の不快感と相まって、彼は不機嫌になった。

そんな黙りこくる彼に、小原は
「どうしたの? 気分でも悪いの? 飲み過ぎちゃったかな?」
と、気遣った。

「いえ、そんなことないです。何でもないです!」
吐き捨てるような彼の言葉に、小原はたじろいだ。

“気に障ることを、言ったのかしら”
気まずい雰囲気が流れ、小原は声をかけることもできずにいた。

「小原先生‥‥」
暗く沈んだ彼の声に、小原は反射的に
「ごめんなさい」と、答えた。

「えっ?」
小原がなぜ謝るのか理解できなかった彼は、驚きの声をあげて振り返った。
「だって、急に恐い顔をするから」
俯いたまま、小原は小さく彼に言った。

「ごめんなさい。ちょっと、考え事をしていたもので」
彼は思いきって、小原に相談をしてみることにした。
「実はですね、小原先生」
「ミタちゃん、先生は止めて。涼子でいいわよ。フレンドリーに行きましょうよ」
どうにも他人行儀な彼に対し、小原は不満をぶつけた。

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