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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空・第一部〜(十四)即席懇談 

2015年06月15日 外部ブログ記事
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突然、教室の戸が開いた。隣の講師が、彼を手招きした。
「はい、何でしょうか」
「もう少し静かな授業をしてくれませんか。こっちが、授業にならないんだよ」
「すみません、気をつけます。申し訳ありませんでした」

深く礼をする彼の背に、
「わーい! たけし先生が怒られた」
「佐竹、うるさいよ」
少女がキッと睨みつけた。

「お茂が怒った、お茂が怒ったあ」
後ろの方から囃す声がした。
しかしお茂と呼ばれた少女は、素知らぬ顔で
「先生、授業に入ってください」
と、凛とした声で告げた。
「はい、それじゃ、授業に入りまーす」

授業に入った途端、子供たちは真剣な顔付きに一変した。
ひと言の私語もなく、全員の視線が彼に注がれた。
“初めが肝心だ。ここでつまづけば、子供たちは僕を信用しないぞ”
塾のオーナーからの指導マニュアルに沿って、授業を進めた。
指導マニュアルには、子供たちとの想定問答もあった。
そのお陰で平穏に終わった。

しかし、その後が大変だった。
迎えのお母さんたちとの即席懇談には、辟易した。
一人一人が愛娘や愛息を自慢しあい、一人一人が彼に同調を求めてくるのだ。
正直なところ、ほんの一部の子どもしか顔と名前が結びつかない彼にとっては、酷なことだった。
といって、無碍な態度もとれない。
あいまいな相づちを繰り返す彼に、救いの手が差し伸べられた。

「やあやあ、皆さん。いつも送り迎え、ご苦労さまです。
御手洗先生の評価をですな、今夜お子さんに聞いてもらえますかな。
いたらぬ点など、お聞かせください。
それじゃこれで、今晩は終わりということで」
塾のオーナーの言葉で、やっと解放された。

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