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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空・第一部〜(十三) 孫の、武士です 

2015年05月27日 外部ブログ記事
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「お爺さま、ただいま。武士です。孫の、武士です」
茂作の背に手をかけようとした彼だったが、その手は茂作に拒否された。
信じられないことだが、早苗の後ろに回り、彼の手を払いのけたのだ。
唖然とする彼に、早苗が済まなさそうな表情で答えた。

「ごめんね、お兄ちゃん。私だけなのよ、お爺さんが受け入れてくれるのは。
内のお母さん、お爺さんの初恋の人だったみたい。
だから私には優しいの、お爺さん」

「泥棒! わしの金を返せ! お前も、同類だろうが!」
早苗の後ろから罵る茂作だった。
痴呆老人の戯言だと済ませられることではなかった。
あれ程に彼の帰省を楽しみにしていた茂作の変わり様は、尋常ではなかった。
彼は哀しさを通り越えて、怒りを覚えた。
拳を握りしめて、ワナワナと震える彼だった。

早苗に促されて、茂作は床に戻った。
「ごめんね、ボクちゃん。今夜は、特別よ。普段は、これ程じゃないのよ。
多分、真理子ちゃんのお母さんが来たせいね。
もう、お部屋に戻りなさい。疲れたでしょう、ゆっくりお休みなさい。
お母さんも、もう休みますから」
疲れ切った表情で、母親は自室に入って行った。
彼は、そんな母親の後ろ姿に心の中で手を合わせた。

「ごめんなさい。お母さん一人に、押しつけて。それにしても、思った以上に進んでいるんだ。
ゼミの教授は、『痴呆老人には、怒ってはだめです。
話を否定してはだめです』と言われたけれど、とてもじゃないが」
「お兄ちゃん、少し話があるんだけど」
早苗が背後から、声をかけた。
早苗からの手紙に憤慨していた彼は、
「分かった」と、短く答えた。

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