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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空・第一部〜(十三) 真理子の母親 

2015年05月25日 外部ブログ記事
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その夜、真理子の母親が彼の元に訪れた。
眉間にしわを寄せて、彼に詰め寄った。
「武さん。どうして、真理子と一緒に帰ってくれないの。
いえ、どうして知らせてくれなかったの。あなたのアパートに、真理子は居るんでしょ!」

その剣幕に、彼はたじろぐだけだった。
彼は絞り出すような声で、答えた。
「申し訳有りません。真理子さんは、確かに僕のアパートに来てくれました。
でも、バイトに出かける時間でしたので、話らしい話をすることなく別れたんです。
『友達と一週間の旅行するの』と言っていましたが。
バイトを休んででも、話を聞けば良かったのですが、、、」

「仕方ないわよ、それは。事情を知らないタケくんだもの。タケくんのせいじゃないわ」
彼の言葉を遮るように、小夜子が口を挟んだ。
二人の間に入らなければ、どうなっていたことか。
「そういうことですから、ごめんなさい。帰ってきたばかりで、疲れていますので。今夜は、この辺で」

憔悴しきった真理子の母親は、彼に対し
「ご迷惑をおかけしました。で、どこのどなたとは、言ってませんでしたか?」
と、すがるような目を見せた。
「すみません、友達の名前までは」

危うく佐知子の名前を言いかけたが、ぐっと言葉を飲み込んだ。
「まさか、家出だったとは思わなくて」
結局彼は、真理子と一晩を過ごした事を隠してしまった
。罪悪感に苛まれつつも、隠し通すことにした。

真理子の母親が立ち去った後、早苗が憤慨の声を上げた。
「なあに、あれってえ。お兄ちゃんのせいじゃ、ないのにさ。ホント、失礼しちゃう!」
「そうよね、ホントに。さあさあ、夕食にしましょう。早苗ちゃんも、食べていくでしょ」
「はあい。ごちそうになりま〜す」
二人に背中を押されるように、彼は台所に向かった。
自責の念にかられている彼は、足を引きずるように歩いた。
「ほら、ほら。元気だして、お兄ちゃん」
早苗の明るい声が、ますます彼を深い闇に落とし込んだ。

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