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幸運を、綱渡り 

2015年02月09日 ナビトモブログ記事
テーマ:アメリカ

私たちが住んでいた場所は、大学町なので、全体の人口は少ないながら外国人が大勢いた。

「インターナショナル・センター」という処に登録すると、ホストファミリーを紹介してくれたり、チューターと呼ばれる英語の個人指導者を紹介してくれるシステムなどもあった。

主人が出会ったチューターは、オックスフォード大学出身の英国人で、有名な教授のご主人とは離婚したのだという、中年女性だった。

お嬢さんは、その街で話題になるほどの高得点で、全国大学入試資格試験(?)とかをパスしたそうで、その時はハーバード大学に通っていた。

主人との相性が良かったらしく、冬休みには「典型的なアメリカの住宅を観る機会って、少ないでしょう・・」と言って、赤ん坊も含む我々家族を招待してくれた。

今もヨーマおばさんと呼んでいる、彼女との出会いが、第三の幸運。


主人がどんな風に説明したのかは知らないが、ヨーマおばさんは何故か、ピアノの演奏会を企んでいた私の為に、ひと肌脱ごうと思ってくれたのだ。


ヨーマおばさんはその街に長かったし、前のご主人の関係で大学の様子も良くわかっていたらしく、色々な人に出す手紙のサンプル等も作ってくれた。

オーディションにかかわる、申し込みの手続なども多分してくれたのだと思う、苦労した覚えが無いから・・。


そして、いよいよ3月の末にリサイタルをする事が決まると、地元の新聞に案内の記事を書いて貰おうかと、「フレンズ・オブ・ミュージック」に問い合わせてもくれた。

すると、その団体の方で既に手配済みだったそうで、その結果、演奏会前には大きな記事がでる運びとなった。

小さな街に住むのも、面白い。


更に、ヨーマおばさんは、演奏会の後に自分の家でレセプションをしましょうと言ってくれた。

30人位までなら可能だから、お友達に声をかけてごらんなさい、というのは、どうやらパーティを開いてくれるつもりらしい。


それからの二か月半。

強力な助っ人であるママ友の協力が無ければ、到底リサイタルは実現できなかったであろう。

「自分たちが試験で忙しい時には、貴女に助けてもらうから、ギブ・アンド・テイクよ」と言って、彼女たちは交代に、我が家の子供たちを自分の家へ連れて行く。

「ママ友がベビーシッタしてくれる」という事は、子供たちにとってお友達と一緒に一日中遊べるという事なので、彼らも嬉々として出かけていくのであった。


演奏会当日は、新聞の宣伝もあり地元の音楽好きの人達が結構集まってくれて、新参者にとっては、思いがけなく華やかな会になった。

ママ友たちも、子供をご主人に預けて大勢やってきてくれたし、その後のレセプションにもたくさん集まってくれた。

そのパーティは、アメリカで典型的なパターンなのかどうか、その後も何度か目にした「チーズ・アンド・ワイン・パーティ」だった。

広いテーブルの上には、何種類かの大きなチーズの塊と、チーズ用のナイフが置いてあり、その横には人数分を少し超えるくらいのワイングラスと、ワインのボトルが沢山並んでいた。

各々が、自分で好きなだけワインを飲み、チーズをかじるのだ。

そして、暖炉の周りや窓際等で、見知っている人も、知らない人も、パーティに招かれているという共通項で、ワイングラスを片手に数人ずつ静かにおしゃべりをしている。

私はその中を周りながら、皆さんに来て下さったお礼を言った。

当たり前だが、パーティに来て下さった方々は、口々に喜ばしい話題を提供してくれる。

そして、そのハイ・テンションの中では、もはや英語をちゃんと勉強しよう等という真面目な考えは、星くずの様に散っていったのだった。


これも、幸運の一つに数えてよいのでは・・。



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会話力は・・。

シシーマニアさん

吾喰楽さん、こんにちは

まず行動力というのは、交流の王道かもしれませんね。
でも、後についてくる筈の会話力は、個人差が大きくて・・。
私の場合は、演奏会をしたお陰で周りの人がレッテルを張ってくれて、英語ができなくても大目に見てくれたのは、幸運でした。

2015/02/09 11:11:03

生まれながらの幸せ者?

シシーマニアさん

喜美さん、こんにちは

「幸せ者」には、自分でそう思っていればなれるかも知れませんね。
まあ私は、そこそこ幸せだとは思っています。
パーティは、楽しいですよね。お食事会も好きですけれど、セルフサービスのティーパーティとか、招く方も招かれる方も気楽ですし・・。

2015/02/09 11:07:12

恩返しは、まだですが・・。

シシーマニアさん

SOYOKAZEさん、こんにちは。

私も、こんな幸運にそう度々巡り合った訳ではありません。海外にいると、常識が壊れて行動的になっているせいだと思います。
日本人は当時まだ、後進国という印象でしたから、大国のアメリカ人が援助してあげるのは当然、といった温かさがありました。
宗教ともつながっているのかもしれませんね。
色々恩恵を受けましたが、恩返しはまだできていません・・。

2015/02/09 10:55:52

幸運

喜美さん

貴方生まれながらの幸せ者よ
何処に行っても良いお友達
貴女が良い方だからそうなるに決まっています

国際交流で行ったときの食事会がそうでした 私は市長さんから色々名前のある方とご一緒でしたしあちらも同じような顔ぶれを知っていましたから
何のご馳走かと楽しみにしていましたら チーズパン珈琲でした 其れでも楽しかった思い出です

2015/02/09 10:01:49

同感

吾喰楽さん

おはようございます。

書こうとしたこと、先を越されました。
SOYOKAZEさんに同感です。

また、会話って、相手に飛び込むことが先決のような気がしました。
そうすれば、意思の疎通は出来ます。
会話力は、後から付いて来るのでは。

2015/02/09 09:40:04

人に恵まれ

さん

シシーマニアさん おはようございます。

シシーマニアさんはウイーンでも、アメリカでも人に恵まれていらっしゃいますね。
貴女の何処かに人を惹きつける何かがあったのかもしれません。

幸運って、プレゼントのように飛び込んで来るものではなく、自ら呼び寄せると、私は思っています。
特に人はそうです。

ワインとチーズだけの簡単なパーティー、カジュアルで素敵ですね。
ディナーと考えると、億劫になりますが、これなら簡単。
パーティーは色んな方と出会え、楽しい会話が目的。
そして今回は素敵なピアノ演奏がメインなんですから。

2015/02/09 09:19:45

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