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敏洋’s 昭和の恋物語り

水たまりの中の青空 〜第三部〜 (四百五) 

2024年01月09日 外部ブログ記事
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「竹田。席をはなれてくれ。奥さんが心配だ、そばにいてやってくれ」 さっきのことを腹に入れて対処しろ、と目配せをした。「わかりました。自宅のほうにも連絡しておきます。お千勢さんが心配されているでしょうし」 万が一にも五平の意図を知らされぬまま、警察の事情聴取をうけられてはならぬ。一秒でも早く、小夜子に伝えておかねばならない。
しかし気の重い竹田ではあった。会社を守るためとはいえ、武蔵個人をいやしめるのだ。たしかに武蔵の浮気は多い、はげしかった。しかしそれとて、小夜子との結婚まえの話だ。最近では減っている、というより、以降はいちどもそんな兆候がない。たしかに酒宴の席はへってはいない。増えた感もある。しかしそれとて、小夜子の自慢のための酒宴がおおくなっていた。さらには武士が誕生してからの、お祝いだと浮かれる姿もある。しかし女あそびは格段にへった観がある。
 武蔵はいま、術後観察のためにICU内にとどめられており、小夜子の入室は許されていなかった。頭といわず胸といわず、足にまで、管やらリード線がつけられて、武蔵の予断をゆるさぬ容態がみてとれるものだった。ガラス窓に体を預けてじっと見入る小夜子の姿に、竹田は胸が熱くなる思いがした。「祈るのはやめて!」と叫んだおりの、強い小夜子はそこにみえなかった。ただただ夫の無事をいのる姿があるだけのように感じられた。“いやよ、いやよ、このまま逝っちゃいやよ。あたしとの約束は、まだいっぱい残ってるんだから”知ってかしらずか、胸のまえで指をかさねている小夜子だった。
「小夜子奥さま。大丈夫ですか。いま、お千勢さんにれんらくしておきました。着替え等をそろえて、朝になったら持ってきてくれるそうです。それから……」 申し訳なさそうに目を伏せて、小夜子に小声で耳打ちした。「いま警察が来ていますが、その、動機について、犯人は仕事関係をにおわせていますが、その、」「はっきりしなさい。五平が、女の不始末だって言ってるんでしょ。わかってるわよ、そんなこと。それであたしは、知らぬ存ぜぬでとおせ、ってことでしょ!」 常の小夜子にもどっていた。ピシャリと竹田をはねつけ、五平の意図を理解していると告げた。
 その後の調べで、大杉商店の三女の知り合いであることが分かった。義憤に駆られたというよりは、三女の誘惑によって事に及んだことが発覚した。そしてそれを画策したのが長女であり、次女は反対したものの三女が決断をした。当初は三女の交際あいてのチンピラに白羽の矢が立ったが、土壇場で逃げだしてしまった。で、その兄貴分である男に、特攻帰りの自称太田和宏を紹介されて、三女が貢ぎ物となることで話がついたという。

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